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ドラマ『シックス・フィート・アンダー』史上最高の最終回を語る

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 『シックス・フィート・アンダー』最終回を観てから一週間ほどが経ち、ようやく落ち着いてこの最終回のことを書くことが出来そうです。今でも、最終回を思い返すと泣き出しそうになってしまいますし、Siaの「Breathe Me」を涙なしに聞くことなど一生無理な気がするのですが……。ネタバレありです。

 

↓『シックス・フィート・アンダー』全体の感想はこちら

人生を目の当たりにするドラマ『シックス・フィート・アンダー』紹介&感想 - 海外ドラマパンチ

 

 

 

 

『シックス・フィート・アンダー』最終回概要

・原題:Everyone's waiting(邦題「未来」)

・エピソードNo:シーズン5 第12話

・放送日:2005年8月21日

・放送時間:72分

・監督・脚本:アラン・ボール

 

『シックス・フィート・アンダー』最終回あらすじ(ネタバレ)

 まずは、最終回のあらすじをざっくり振り返ってみましょう。ネタバレありです。

 

 ブレンダとネイトの娘のウィラが誕生する。しかし、ウィラは出産予定日より2ヶ月も早く生まれ、体重もわずか1020gほどしかなかったため、ブレンダは何か病気があるのではないかと気をもむ。

 

 フェデリコはデイヴィッドに「フィッシャー&ディアス葬儀社」を売るように相談するが、デイヴィッドとキースは逆にフェデリコの持ち分を買い取り、自分たちの葬儀社にして再スタートする。フェデリコも、ヴァネッサとともに自分の葬儀社を立ち上げる。一方、デイヴィッドは、遺体安置室で赤いパーカーを着た因縁の男と対決をする。そして、彼が実は自分自身であることを知り、ついに自分を受け入れる。

 

 クレアは、ニューヨークの会社からカメラマンのアシスタントの仕事をオファーされる。しかし、マヤがブレンダのもとに戻り落胆していたルースのためにロサンゼルスに残ろうかと提案したところ、ルースに強く否定される。ニューヨークへの出発直前に、クレアはアシスタントのオファーが取り消しになったことを知るが、ネイトの後押しを受けてそのままニューヨークへ向かう決意をする。

 

 そして、クレアは家族に別れを告げ、車に乗って走りだす。

 

「生」から始まる最終話

 『シックス・フィート・アンダー』最終回は、なんとブレンダの娘が誕生するシーンから始まります!これまで、シーズン3第1話のネイトの手術後のエピソードを除く全てのエピソードが「死」から始まっていたのですが、最終話は「生」で幕を開けます。

 

 そうは言っても、最終回の序盤はなかなか辛い展開が続きます。ウィラに病気があるのかがはっきりせず、ルースはマヤを引き離されてひどく落ち込んでしまいます。ここまでは、これまでの何回かあった辛い場面です。しかし、ここから『シックス・フィート・アンダー』最終回は最高の展開を迎えます。

 

 

 

己を受け入れ、各々の道へ

 シーズン4でジャンキーの襲われてから、ずっと赤いパーカーの人物の幻影に悩まされていたデイヴィッド。最終話では、この幻影の正体がデイヴィッド自身だったことが明らかになります。最初の頃のデイヴィッドは自分の感情をほとんど表に出さない抑圧的な性格だったのですが、シーズン1からカミングアウトなどと通して徐々に自分に正直になっていきます。そして、最後にはついに本当の自分を完全に受け入れられるようになったのです。この場面は、最終話の一つの山場ですね。

 

 もう一つがクレアとルースの場面です。ルースのことを心配したクレアはニューヨークに行かずに家に残ろうかと言うのですが(やっぱりクレアは優しい……)、ルースは「絶対にダメ」と力強く否定します。ナサニエルが亡くなるまで、ほとんど家から出ることのなかったルースが、クレアには同じような人生を絶対に送ってほしくないという思いが伝わってきます。

 

 この場面では、ルースがクレアの提案をそのまま受け入れてしまいそうな雰囲気もあったのですが、そこを全力で却下してくれたルースにまず感動してしまいました。シリーズを通して様々な顔を見せてきたルースでしたが、何よりも子供を思うという点はずっと変わってきませんでした。最終話では、そんなルースの娘を思う気持ちが何よりも強いということがわかります。このおかげで、クレアは思い残すこともなくニューヨークへ向かう決断をします。

 

そして、車は走りだす

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 ニューヨークへ出発することになったクレアは、最後に家族の写真を撮ります。そこで、ネイトに「You can't take a picture of this. It's already gone.」という言葉を掛けられます。この場面で、もうクレアがボロッボロ泣いているんですよね。それだけでも涙を誘われてしまいます。でも、本当に凄いのはここから。

 

 クレアが車に乗って走りだすと、未来の光景が次々に映し出されていきます。その中で、私たちはフィッシャー家の面々が死ぬ様を目撃します。ルースやデイヴィッドなど病死する人物が多いなか、キースのように事件で亡くなる者もいます。そして最後に、クレアは家族やテッドと過ごしてきた自分の一生を振り返り、安らかに亡くなります。

 

 自分は、もうこの6分間はどうしても涙が止められませんでした。その後も、一時間程このことを考えてボーっとしているほど、圧倒されてしまいました。でも、これは悲しいからというだけではないと思うんです。私たちは、事実として「人はいつか死ぬ」ということを当然知っています。しかし、『シックス・フィート・アンダー』最後の6分間では、このことを否応なく感じさせられるのです。

 

 フィッシャー家の人たちは、クレアがニューヨークに向かった後も様々な喜びや困難に出会いながら生きていきます。それは、人間として生きる以上、私たち誰にとっても同じことです。しかし、人生はによって唐突に終わりを迎えてしまいます。この世に生を受けた人物は、誰しもが死までの人生を生きていきます。最後の場面は、それまでフィッシャー家の物語だった『シックス・フィート・アンダー』が、私たち自身の物語へと変貌する瞬間であり、このようなメッセージを私たちに力強く訴えかけてきます。それは「人生」というもののスケールを見事に描き出し、畏敬の念のようなものさえいだかせる場面でした。

 

Sia「Breathe Me」

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 この最終シーンは、演出も完璧です。止まることのない人生を象徴するように車は走り続け、前を見つめるクレアの表情が映ります。『シックス・フィート・アンダー』は、特にオープニングからもわかる通り、「象徴」の使い方が非常に上手い。最終話では、その強みがこれまで以上に生かされています。

 

 そして、また曲がズルい(笑) クレアがテッドからもらったCDをかけると、ピアノに載せてシーアの繊細な歌声が響きます。あぁ~、もうダメだ。聞き始めたら、やっぱり目に涙が…。もはや、ほとんど呪い。レストランとかで、万が一この曲が流れたら、無理無理。いきなり泣き出す人になっちゃうから(笑)

www.youtube.com

 

 ちなみに、別の曲を用いた別エンディング(本物かどうか知りませが)というものがYouTubeに上がっていたので、こちらも観てみました。映像は同じなんですけど、こちらはそこまで感動しませんでしたね。やっぱりSiaの「Breathe Me」あってのこのラストシーンなんですね。

 

 余談ですが、スーパードラマTVで『シックス・フィート・アンダー』が放送されたときに「お悔み」として、彼らのその後のプロフィールが書かれていました。こちらも興味があったら下記のリンクから読んでみてください。各々の登場人物たちが活躍した姿が伺えます。

スーパードラマTV:『シックス・フィート・アンダー』特集「お悔み」

 

まとめ

 以上、「史上最高のエンディング」と称される『シックス・フィート・アンダー』最終回の感想・解説を書いてきました。自分はそもそも『シックス・フィート・アンダー』が好きだったんですが、最終回で株がさらに爆上がりしました。私の中では、文句なく海外ドラマ史上最高のエピソードです。このドラマに出会えたことには本当に感謝しかありません。ありがとう。そして、この記事を読んでくださった方もありがとうございます。

 

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