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コミック版『スコット・ピルグリム』全巻読んでみた:原作vs映画

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 トロントに住む、お気楽な青年スコット・ピルグリムと、彼の愉快な仲間たち、そして愛すべきラモーナ・フラワーズの冒険を描いた『スコット・ピルグリム』シリーズ。エドガー・ライト監督の映画版『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』を観たことがある人も多いかも。

 

↓ Netflixアニメ版にまつわる様々な話

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 先日、ブライアン・リー・オマリーの原作コミックを全巻読み終わったので、今回はレビューというかなにやかやをしようかなと。原作と映画のネタバレを含めて書いていくので、一応ご注意を。

関連記事:『スコット・ピルグリム』のすゝめ:映画,コミック,ゲームで楽しむ青春アクショントリロジー! - 海外ドラマパンチ

 

 コミックは邦訳版もあるのですが、自分が読んだのはオリジナル版(全6巻)です。邦訳版は、原作2巻分が1冊にまとまっているので、全3巻になっています。オリジナル版は、平易な英語しか用いられていないので、初めての洋書としても最適だと思います。

 

コミックタイトル(オリジナル)

Vol. 1 Scott Pilgrim's Precious Little Life 

Vol. 2 Scott Pilgrim vs. The World

Vol. 3 Scott Pilgrim & The Infinite Sadness

Vol. 4 Scott Pilgrim Gets It Together

Vol. 5 Scott Pilgrim vs. The Universe 

Vol. 6 Scott Pilgrim's Finest Hour

Scott Pilgrim Free Comic Book Day Story ←Amazon Kindleで無料

 

邦訳版

『スコット・ピルグリム VS ザ・ワールド』(Vol.1,2に対応)

『スコット・ピルグリム & インフィニット・サッドネス』(Vol.3,4に対応)

『スコット・ピルグリム VS ジ・ユニバース』(Vol.5,6に対応)

 

↓左が邦訳書籍版、右が原作電子版。原作の電子版が全巻でも3,600円程度で一番安い。

 

登場人物

 『スコット・ピルグリム』と言えば、キャラクターの多さが特徴的だとも思うので、まずはキャラクターごとにまとめてみましょう。映画版のキャストも書いてあります。改めてまとめるとなんとも豪華なキャスト陣。

 

スコット・ピルグリム/マイケル・セラ

 我らが主人公。高校時代にキムと、大学時代にエンヴィと、少し前にナイヴズと、今はラモーナと付き合っている。セックス・ボム・オムのギタリスト。皆にクズだと思われているし、実際そうだと思う。スコットは、徹底的にだらしないからね。でも、なぜかモテるし、なぜか強い。

 

ラモーナ・”ラミー”・フラワーズ/メアリー・エリザベス・ウィンステッド

 アメリカから来た謎ガール。可愛い。サブスペースの使い手で、街の至る所にある星マークの付いたドアから、サブスペースを使って移動している。いつも持っているカバンも、サブスペースに通じている。可愛い。定期的に頭が光る。映画でも光れば良かったのに。頭が光るメアリー・エリザベス・ウィンステッドって、カオスでしょ笑。絶対可愛いけど。

 

スティーブン・スティルズ/マーク・ウェバー

 セックス・ボム・オムのベーシスト。ジュールズ・パワーズと付き合ったり別れたりを繰り返している。他の人たちと同様、スコットのことをクズだと思っているが、バンドだけでなくバイト先の面倒も見てたりと、何かに気に掛けている。

 

キム・パイン/アリソン・ピル

 セックス・ボム・オムのドラマー。コミックを読んで一番応援したくなるのが、他ならぬキム・パイン。スコットの元カレでありながら、ずっと一緒にバンドをやっていて、スコットがギデオンとの最終決戦に挑むときには背中を押します。カッコいい。

 

ウォレス・ウェルズ/キーラン・カルキン

 スコットの同居人でゲイ。映画とほとんど同じキャラだが、よくスコットの面倒を見てるなぁというのは、さらに強く感じる。

 

ナイブズ・チャウ/エレン・ウォン

 高校生。スコット中毒。途中からパワーアップして、ラモーナに2回ぐらい戦いを挑む。パワーアップ版ナイヴズは、意外とカッコいい。第5巻で、これまでスコットを愛しすぎていたけど、今度からは自分を愛することに決心するので、映画版ほど可哀そうなラストではない。映画は、スコットのために狂気的に何でもするところまでしか描かれていないので、スコットがナイヴズを振った展開がちょっと可哀そうだった。

 

ヤング・ニール/ジョニー・シモンズ

 セックス・ボム・オムの最大のファン。映画版と同様、コミックでもそれほど出番はない。実は”ヤング”と呼ばれることを嫌がっている。ナイヴズの方が若いため。

 

ステイシー・ピルグリム/アナ・ケンドリック

 彼女も、コミックではそれほど出番はない。映画ではアナ・ケンドリックだったので、むしろ映画の方が印象が強い。

 

エンヴィ・アダムズ/ブリー・ラーソン

 大学生のときはオタクだったが、今はスーパースター。スコットと大学時代に付き合っていた。今は一緒に「ザ・クラッシュ・アット・デーモン・ヘッズ」をやっているヴィーガンのトッドと付き合っている。案外、トッドに一途だったりする。

 

トッド・イングラム/ブランドン・ラウス

 ラモーナの元カレで、エンヴィの今カレ。告白をするときには月にパンチをするので、今の月には2つの穴が空いている。浮気性。

 

ジュリー・パワーズ/オーブリー・プラザ

 スティーヴン・スティルズと付き合ったり別れたりを繰り返す情報通。よくパーティーを開く。エンヴィと友達になりたい。なれてないけど。

 

リサ・ミラー

 スコットとキムの高校時代の友人で、今は女優をしている。セクシーな魅力があり、第4巻では高校時代からスコットに気が合ったと告白する。が、理性的な会話を通してスコットはラモーナへの愛を再確認した。映画版には登場しなかったキャラクター。映画版なら誰が演じるかなぁと考えてみたけど、あんまり思い浮かばない。

 

ギデオン・グライヴス/ジェイソン・シュワルツマン

 ラモーナがスコットと出会う直前まで付き合っており、邪悪な元カレ軍団を集めた張本人。人が持つ激しい感情とともにサブスペースに閉じこめてしまうGLOW(光)というものを発明した。これが機能しているときはその人の頭が光る。この発明により、大金持ちになったと言う。ラモーナは、このGLOWを勝手に活用してサブスペースを行き来していた。また、ギデオンは自分の元カノたちを冷凍保存していた。

 

WHATEVER...

 原作を読んでから映画を観て、一番忠実にキャラが再現されてるなと感じたのは、キーラン・カルキン演じるウォレス・ウェルズでした。原作のイメージぴったりだし、原作通りの言動をしても違和感がないんですよね。

 

 カルキンと聞くと、『ホーム・アローン』のマコーレー・カルキンを思い出す人もいるかもしれませんが、キーランは彼の実の弟です。今は、HBOドラマ『キング・オブ・メディア』にも出演して、ゴールデン・グローブ賞とエミー賞にもノミネートされています。本当はマコーレーの弟なんて紹介はしたくないんですよね。今ではキーラン自身の方が、キャリアで圧倒しているから。

 

 

映画版と原作の違い 

 映画とコミックはともに、7人の邪悪な元カレたちを倒していくという流れは同じなのですが、やはりコミックでは個々のキャラクターや戦闘がより細かく描かれています。6巻もありますからね。1巻で1人の敵(5人目と6人目は日本人の双子なので一緒に)を倒すペースです。邪悪な元カレ軍団との対決を、一つずつ振り返ってみます。

 

 1人目のマシュー・パテル戦、2人目のルーカス・リー戦、3人目のトッド・イングラム戦については、それほど大きな差はないと言って良いでしょう。コミックでは。トッド戦が長期戦だったということぐらい。

 

 4人目のロキシー・リヒター戦からは、コミックと映画で違いがあります。映画では、ラモーナが手を取ってスコットにロキシーを殴らせていたのですが、これはFree Comic Book Day Storyの小ネタです。また、ロキシーの膝の裏が性感帯だというのは、原作ではスコットがエンヴィに用いた技でした。

 

 5人目と6人目の日本人双子の片柳兄弟戦は、全く別物です。映画はベースバトルをしていましたが、コミックでは普通に戦っています。そもそも、片柳兄弟がバンドマンかどうかも実は怪しいのです。この戦いでは、キムが重要な役割を果たすのですが、それはコミックを読んだ人のお楽しみにしておきましょう。

 

 7人目のギデオン・グライヴスに関しても、大きく違います。ギデオンに関しては、登場人物紹介のところでも書いたように、映画では描かれなかった面(GLOWの話など)が多くあるためです。最終決戦で、スコットが途中で獲得していたライフを利用するという展開はどちらも同じですが、コミックでは時間が戻ることはありません。そのまま復活します。あと、自尊心パワーも出てこないです。原作の最終決戦は、かなりスケールが大きく、とてもエキサイティングなものになっています。

 

 映画の脚本は、原作が完結する前に書き上がったそうなので、後半の展開は大きく異なります。もしかしたら、映画版の終盤の展開にいくつか疑問を感じた人もいるかもしれませんが、それはこういう理由があったわけです。特に、ラモーナが自発的にギデオンのもとに戻ってしまったことや、最後のナイブズの処遇にモヤモヤしたならば、原作を読むとスッキリすると思います。

 

 ただ、映画版には原作が持ち得ない大きな魅力があります。それは「音楽」です。エドガー・ライト監督は、その抜群の音楽センスを最大限に発揮し、最高の音楽を集めました。さらに、最高にロックな映像も併せて、最高の音楽映画に仕上げています。そういう意味で、この映画版は単なる漫画実写作品にとどまらず、原作のBGMとしても優れた作品になっています。

 

まとめ

 一見ギャグ漫画と思えるほど奇妙奇天烈な設定や個性強めなキャラクターたちが多々登場する『スコット・ピルグリム』シリーズですが、なんだかんだ上手くまとめていくのは面白い。ラモーナの頭が光のもギャグなのかと思いきや、サブスペースの謎もひっくるめて解決しちゃうんだもの。

 

 絵も可愛い。日本のゆるキャラみたいな。実際に、作者のブライアン・リー・オマリーも日本のサブカルチャーが好きらしく、そこからの影響も大きいようです。絵は可愛いのに、スコットがクズだというギャップも面白い。ラモーナも、GLOWという感情兵器のせいもあって、必ずしも好ましいキャラとは言えないんですよね。もう、キムしか勝たん。

 

WE ARE SEX BOB-OMB! ONE, TWO, THREE, FOUR!!

 

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