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『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』の海外評価が賛否両論の理由は?

 2022年9月2日に最初の2話が公開されたAmazonプライムビデオのドラマ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』は、原作の知名度に加えて、Amazonの強力なプロモーションもあり、多くの人がご覧になっていると思います。それは、世界でも同じです。非常に注目度が高く、公開初日の時点で大量の感想がインターネットに上げられています。

 

 ドラマ史上最高額の製作費が掛けられている『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』は、次なる『ゲーム・オブ・スローンズ』になるはずでした。しかし、現時点でのレビューは賛否両論まっぷたつ。日本では肯定的な感想が多いように見受けられますが、海外の視聴者の間では厳しい意見もかなり多く出ています。

 

 今回は、最初の2話が配信されている現時点での『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』の国内外の評価とその理由を解説していきます。

関連記事:初見の視聴者には厳しかった~『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』感想~ - 海外ドラマパンチ

 

 

 

作品概要

予告編

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 そもそも『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』は、J・R・R・トールキンの名作ファンタジー小説シリーズ『指輪物語』のスピンオフであり、映画版3部作や『ホビット』3部作の数千年前の出来事を描いています。主に原作の第10巻「追補編」がベースになっていますが、新キャラクターも多く登場しており、オリジナル要素がふんだんに取り入れられています。

 

 シーズン1の製作費は、4億6500万ドル。映画版が3作合計で2億8100万ドルであり、同様のファンタジー大作ドラマである『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章が約1億ドルであったことを考えると、どれほど破格の予算であるかがわかります。Amazonは、『ゲーム・オブ・スローンズ』のように世界中誰もが話題にするような大作を自社も獲得したいと考え、これほどの製作費を出しています。

 

 『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』はすでにシーズン2の製作が決定しており、製作側の希望では全5シーズンを想定しているそう。たとえシーズン1の評判が悪くても打ち切りになることはありませんが、製作費に見合う話題をさらうことができなければ、制作会社としてのAmazon Studioの経営は冗談ではなく風前の灯火になりかねません。まさに社の命運をかけた作品なのです。

 

 9月4日にAmazonは、第1~2話の公開から24時間で全世界2500万人が『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』を視聴したと発表しました。もちろんこれはAmazonプライムビデオ史上最多。これまでの最多は『ザ・ボーイズ』だと思われますが、視聴者数のデータが公開されていないため、比較することができません。

 

 

評価

 日本国内での評価は、おおむね良好なようです。最初の2話の公開から36時間が経った時点で、映画記録アプリFilmarks(フィルマークス)では5点満点中☆4.0。TwitterなどのSNSで感想を見る限り、好意的な感想が多いように見受けられます。キャスティングに関しては批判も見られますが、この点に関しては後ほど詳しく取り上げます。

 

 一方、海外評価はかなり厳しくなっています。批評サイトRotten Tomatoesの批評家スコアに関しては84%と高いものの、視聴者スコアは36%。IMDbのスコアは乱高下していますが、現時点で5万以上のレビューが集まっており、評価は10点満点中☆6.5。製作費と期待値の高さから考えると、期待外れの結果です。

関連記事:世界最大級の映画・ドラマ情報サイトIMDbとは何か?便利な活用法を紹介 - 海外ドラマパンチ

 

↓リアルタイムのIMDbスコア

The Lord of the Rings: The Rings of Power (2022) on IMDb

 

 ただし、IMDbで詳しくレビューの傾向を見ると、興味深い様子になっています。最高の☆10を付けているのが全体の3分の1、最低の☆1を付けているのが全体の4分の1となっており、賛否がはっきり分かれています。

 

 批判されている点の前に、まず一つ、全会一致で絶賛されている点があります。それは、映像のクオリティです。さすが多額の製作費が掛かっているだけあって、映像は見事なものです。壮大で美しい中つ国の風景は、見応え十分。Dolby Visionでも配信されており、家庭で楽しめる最高のクオリティの映像でドラマを観ることができます。

 

 

賛否両論の理由

①キャスティングの問題

 この批判は正直取り上げたくはないのですが、あまりにも多いので扱わないわけにはいきません。キャスティングの問題というのは、キャストの人種に関してです。今回のドラマ版では、エルフやドワーフなどに白人だけでなく有色人種も起用されています。原作ファンの一部は、いわるゆポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)によって原作が改悪されたと主張しています。

 

 ハッキリ言わせてもらいますが、そのような主張は人種差別的です。中つ国は、現実に存在した国ではありません。ファンタジーの世界なので、人種は関係ありません。そもそもJ・R・R・トールキンの原作にも、エルフが白人だという記述はありません。

関連記事:ロード・オブ・ザ・リング「黒人のエルフ」が炎上…「世界観が違う」「ポリコレをねじ込むな」批判は本当に「原作リスペクト」なのか(赤木 智弘) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

 

 ポリティカル・コレクトネスに関してはもっと様々な意見があると思いますし、私なりの考えもありますが、とりあえずこのくらいにしておきます。この記事の趣旨に沿ってまとめると、キャスティングを批判している視聴者が少なからずいるのが事実だということです。

 

②脚本の無駄が多い

 こちらは、理性的な批判で、考慮に値するものです。主に海外では、脚本への批判が集中しています。あまりにも無駄が多すぎる、意味がないシーンが多すぎるというのです。具体例を挙げて考えてみます。

 

 例えば、第2話でドワーフのドゥリン王子とエルフのエルロンドが対決するところ。2人がそれぞれ石鎚を持って、巨大な岩を叩き割る場面です。勝敗の付け方はよくわかりません(石鎚が壊れた方が負け?)が、ともかく勝負をしています。

 

 この場面は、明らかにメインストーリーには関わってきません。互いの命が懸かっているわけではありませんし、勝敗の結果に関わらず、対決の後にエルロンドがドゥリンに頼み事をするであろうことはなんとなくわかります。

 

 このように、深い意味がない会話や事柄を「フィラー」と言います。『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』には、フィラーが多すぎるというのです。その主張自体は正しいかもしれません。映画や原作小説と比べれば、事実、フィラーは多いのだと思います。

 

 ただし、これはドラマです。シーズン1だけで8時間あります。全部で5シーズンを想定しているそうなので、このまま行けば40時間になります。それを、最初から映画のような密度で、全速力で駆け抜ける必要があるのだろうかという疑問はあります。

 

 そもそも、まだ2話です。もしかしたら、現時点では意味がないように見える場面でも、後ほど意味が出てくるのかもしれません。たとえそうでなくても、中つ国の世界観を存分に楽しむくらいの時間的余裕はあるわけですから、そんなに急いでメインストーリーを進める必要もないんじゃないのかなと私は思います。

 

 

まとめ

 『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』へのレビューは、現在、インターネット上で氾濫しており、作品評価はまだ全く定まっていません。というより、やや荒れているようにも見えます。一つ言いたいのは、まだ2話しか公開されていないので早まるべきではないということです。脚本の無駄に関しての指摘はなるほどなぁと思う部分もありましたが、これから盛り上がっていくかもしれません。もちろん逆だってあり得ますが、どっちにしろ、評価が確定するのはシーズン1全8話の配信が終わる10月14日以降です。それまでは、毎週金曜日の配信を楽しみに待ちましょう。

 

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