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映画版『ソプラノズ』を観る前に知っておきたいこと

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"One thing about us wiseguys, the hustle never ends"

 - Tony Soprano in The Sopranos

 

 映画データ

原題:The Many Saints of Newark

監督:アラン・テイラー

脚本:ローレンス・コナー, デイビッド・チェイス

出演:アレッサンドロ・ニヴォラ, ジョン・バーンサル, ヴェラ・ファーミガほか

公開予定日:2021年10月1日(アメリカ)※日本は未定

予告編1:

www.youtube.com

 

予告編2:

www.youtube.com

 

追記:2021年12月21日より『ソプラノズ ニューアークに舞い降りたマフィアたち』という邦題でDVDレンタル開始、2022年4月13日よりデジタル配信が開始することが決まりました。

psbr.hatenablog.com

 

映画『The Many Saints of Newark』とは?

              ワーナーが2021年公開映画17本を劇場とHBO Maxでリリースすると発表しました。『Godzilla vs Kong: Battle of Kings』や『マトリックス4』などのビッグタイトルが名を連ねる中「これは?」と感じたタイトルがいくつかあったと思います。そんなタイトルの中で今回紹介するのが『The Many Saints of Newark』。今回はこの映画を見る前に知っておきたいことをいくつか紹介します。

 

1.The Many saints of Newarkはドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』の前日譚

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              『The Many Saints of Newark』はアメリカのケーブルテレビ局HBOが1999年から2007年にかけて放送していた大ヒットドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』の前日譚です!! つまり海外ドラマの劇場版ということになります。記憶に新しい物だと『ダウントン・アビー』や『デッドウッド〜銃とSEXとワイルドタウン〜』、そして『ブレイキング・バッド』の劇場版があります。もちろん前日譚なのでドラマを見なくても楽しめますがソプラノズファンの筆者からするとこの機会に是非『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』も見て欲しいのでこの機会にこのドラマを少し紹介したいと思います。

 

↓ 海外ドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』全6シーズンは、U-Nextで独占見放題配信中。

 

ドラマ『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』とは

              HBOが1999年から2007年に放送していた全86話の「マフィア」ドラマです。このドラマはニュージャージーマフィアの幹部トニー・ソプラノを通してリアルなマフィオーソ(マフィアの構成員を指す)の生活を描いています。当ブログでも何度か取り上げていますが、ここで未見者向けに3つのポイントに分け、このドラマを紹介したいと思います。

 

ポイント1. リアルなマフィア

              マフィアと聞いて皆さんが思いつくものといえば「ゴッドファーザー」、「トンプソン・サブマシンガン」、「アル・カポネ」など少しヴィンテージを感じさせるようなものが多いと思います。しかしこのドラマで描かれているのは1998年という極々最近のマフィアです。ワインではなくコーラ、スーツではなくジャージなど近代化された彼らを見て「案外近くにいるかも?」と遠い存在だったはずのマフィアが身近に感じます。

 

              それもそのはず、このドラマの舞台となるニュージャージー州には「デカヴァルカンテ一家(DeCavalcante crime family)」というマフィアが実在しており、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』はこの組織をモデルにしているからです。もちろん主人公トニー・ソプラノにもモデルとなる人物が存在しています。圧倒的なリサーチ力でリアルなマフィアを描いたこのドラマ、見終わる頃にはあなたもマフィア博士になっているかも!

 

ポイント2.リアルな人間関係

              皆さん突然ですが、人間関係について悩んでいることはありませんか?例えば「あいつ優秀だけど性格がなぁ」とか「もしかして俺仲間はずれにされてる?」とか。誰しもが人間関係について悩みの一つは二つ持っていると思いますが、このドラマはその悩みをユーモラスに描いています。このドラマを見ていると「このキャラもしかして自分?」と感じることがしばしば。

 

ポイント3.リアルな脚本

              このドラマの脚本は一言で言うと「映画」。ドラマを見ているはずなのに、一話見終わると映画を一本見終わった心地になります。一話で起きる出来事はマフィア映画のような刺激に満ちたものから極々普通のアメリカ人の生活を描いたものまで様々です。この正反対の物語を同じドラマに落とし込めたのは間違いなく脚本の力でしょう。さらに脚本にはこれまで述べたマフィアと私たちがもつ「リアル」をふんだんに盛り込んでいるので自然に物語に入り込むことができます。全くマフィアを知らないという人でもこのドラマを楽しむことができます。

 

2.映画版『ソプラノズ』はニューアーク暴動(1967 Newark riots)を背景にしている

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Newark Riots at 50: Martin Luther King Predicted 1967 Events | Time

 

              映画『The Many Saints of Newark』の舞台は1960年代から1970年代のニュージャージですが、ここでこの年代のニュージャージーを語る上で避けて通れないのが「ニューアーク暴動(1967 Newark riots)」です。この暴動はジョン・ウィリアム・スミスが複数の警察官から暴行を加えられてことにより発生した暴動であり結果26人の死者を出す大惨事となりました。

 

    暴動が起きるまでになった理由は暴行を受けた人物が黒人でありその警察官が白人だったからです。さらに北ニュージャージーが典型的なホワイト・フライト(白人が郊外に出て行く現象)が見られる地域であり、ワッツ暴動がその2年前に起きたことなどが人種間の対立を過激化していました。最近だとBLM運動に付随した暴動が記憶に新しいですね。

 

              この映画ではこの暴動を背景にイタリア系アメリカ人・アフリカ系アメリカ人の二つのコミュニティについて描くとされており、ドラマの劇場版ながらも現在の社会問題に深く切り込んだ作品になることでしょう。そしてイタリア系アメリカ人もまた「マフィア」という存在が原因で差別的扱いを受けてきた人種です。これをどのように扱うかが気になりますね。

 

3.スタッフ&俳優

              『The Many Saints of Newark』の監督アラン・テイラーは『ゲーム・オブ・スローンズ』、『マッドメン』や『セックス・アンド・ザシティ』など数々の名作ドラマのエピソードを監督した人です。もちろん『ザ・ソプラノズ』も何話か手がけています。私もこの人が監督したエピソードをいくつか見ていますが、どれもその作品のテーマを体現したものが多く、この人が監督した回を見ただけでもそのドラマの良さがわかります。つまりこのドラマの劇場版という少しハードルが高い映画において、まったくのドラマ未見者でも楽しめるようになっているでしょう。

 

              そしてこの映画の脚本はローレンス・コナー『ボードウォークエンパイア』)、デイビッド・チェイス(『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』)です。デイビット・チェイスはもちろん『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』の制作総指揮であり、ローレンス・コナーも名作ドラマ『ボードウォークエンパイア』の脚本、共同制作者です。この二人が脚本を担当すると考えると、『The Many Saints of Newark』は過激でユーモアにあふれたものになるでしょう。楽しみです。

 

              気になる出演俳優ですがアレッサンドロ・ニヴォラ(『フェイス/オフ』)、ジョン・バーンサル(『パニッシャー』)、ヴェラ・ファーミガ(『ディパーテッド』)、レイ・リオッタ(『グッド・フェローズ』)、コリー・ストール(『ハウス・オブ・カード 野望の階段』)など実力者ぞろい。この俳優たちについてはここで私が説明する必要はないでしょう。

 

    注目すべきはこの映画で若き日のトニー・ソプラノを演じるのがザ・ソプラノズでトニー・ソプラノを演じたジェームズ・ガンドルフィーニの息子マイケル・ガンドルフィーニという点です。マイケル・ガンドルフィーニはこの作品だけではなく『DEUCE/ポルノストリートin NY』などで俳優として活躍しています。『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』の劇場版ということで誰がトニー・ソプラノを演じるのかという避けては通れないこの疑問を一番良い方法で解決したと私は思います。もうすでに父のような貫禄です!

 

最後に

              ここまで『The Many Saints of Newark(邦題:ソプラノズ ニューアークに舞い降りたマフィアたち)』についてドラマ未見者向けに紹介しましたが、ザ・ソプラノズのファンである私からするとぜひドラマを見てから映画を見て欲しいです(見なくても楽しめると述べましたが)。また機会があればドラマを見た方向けに『The Many Saints of Newark』の記事を書きたいと思います。

 

 

 ※今回の記事は、いつもの筆者のサイモンよりもずっと『ザ・ソプラノズ』に詳しいTwo‐Lettersさんに寄稿して頂きました。ありがとうございます。 

 

↓ こっちはいつものサイモンが書いています。

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