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Amazonドラマ『アウターレンジ~領域外~』シーズン1考察&感想

 

基本データ

  • 原題:Outer Range
  • 配信:Amazonプライムビデオ
  • 公開年:2022年
  • 話数:8
  • 主演:ジョシュ・ブローリン
  • あらすじ:ワイオミング州の広大な牧場に、謎の黒い穴が開いていた。牧場主のロイヤル・アボットは、この穴を使ってある犯罪を隠蔽しようとしていた。
  • 予告編:

    youtu.be

 

登場人物

ロイヤル・アボット:牧場主

セシリア・アボット:ロイヤルの妻

ペリー・アボット:長男

レット・アボット:次男

レベッカ・アボット:ペリーの妻、失踪中

エイミー・アボット:ペリーとレベッカの娘

 

ウェイン・ティラーソン:牧場主

パトリシア・ティラーソン:ウェインの元妻

トレバー・ティラーソン:長男

ルーク・ティラーソン:次男

ビリー・ティラーソン:三男

 

ジョイ:保安官代理

マリア:レットの片思いの相手

オータム:アボット牧場にやって来た謎の女性

 

以下、ネタバレあり

 

 

あらすじ

 ワイオミング州で牧場を営んでいるアボット家は、隣のティラーソン家と土地の権利を争っていた。牧場主のロイヤルは、西側の土地に謎の黒い穴を見つける。牧場には、オータムがキャンプをしたいと言ってやってきた。

 

 アボット家の長男のペリーは結婚していて娘が一人いたが、数ヶ月前に妻は失踪してしまった。次男のレットはロデオ乗りとして有名だった。ロデオがあった夜、兄弟はバーに行ったところ、ティラーソン家のトレバーと喧嘩になり、ペリーが彼を殴り殺してしまった。父親のロイヤルは事件を隠蔽しようとし、トレバーの死体を穴に放り込む。

 

 オータムは、その瞬間を目撃していた。2人は口論になり、オータムがロイヤルを穴の中に突き落とす。ロイヤルは、翌朝になってそのまま家に帰ってきた。彼は、穴の中で自分が死んだ後の未来を見てきていた。その後、ロイヤルとオータムが会話をしていたとき、山が数秒間消えた。

 

 ジョイ保安官代理は、トレバーの事件の捜査を始めた。ペリーの娘のエイミーは、山の中でトレバーの死体を発見した。検視の結果、死亡推定時刻はほんの数時間前であり、8日前にバーで喧嘩があったこととつじつまが合わなかった。

 

 ジョイは、アボットの弟のレットを最重要容疑者として尋問をしていた。だが、バーで喧嘩をしていたのが実際には兄のペリーだったと知り、容疑者をペリーに変える。最も重要な証拠物件である血の付いたベルトの金具は、しかしながらロイヤルが盗んでしまった。

 

 ロイヤルとオータムはポーカーで勝負をし、ズルをして勝ったロイヤルはオータムのペンダントを手に入れる。ロイヤルは、穴の近くで見つけた黒い鉱物を調べていた。すると、そこから黒い何物かが抜け出してきた。ロイヤルとオータムの対立は激化し、ロイタルがバイクで無理やりオータムを連れ去ろうとしていた。なんとか逃げ出したオータムは、ペリーをそそのかして自首させた。

 

 保釈されたペリーは、父親の真実を知る。ロイヤルは、実は19世紀に生まれていたが、自分の父親を誤って射殺してしまった直後に、穴に落ちてしまった。そして、やってきたのが1960年代のアボット牧場だった。真実を知ったペリーは、妻も穴の中にいるに違いないと考え、自ら穴に入り込む。その瞬間、穴は消滅してしまった。

 

 その頃、オータムはビリーに穴の存在を教え、2人はすっかり意気投合していた。ロイヤルとオータムは、互いに相手を殺そうとしていた。夜になり、2人が銃撃戦を始めたところ、車を運転していたビリーが撃たれて死亡。その直後に、バイソンの大群がやってきて、オータムは踏み殺される。オータムの額の切り傷から、ロイヤルは彼女が自分の孫のエイミーであったことを知る。エイミーはその夜、失踪していた母親を再会し、どこかに連れていかれていた。

 

感想

カウボーイ×SF

 予告編を観てもどんなドラマかさっぱりわからなかった『アウターレンジ』ですが、蓋を開けてみると、なんとSF×カウボーイという異色コラボでした。一応、映画『カウボーイ&エイリアン』という先例はありますが、それでも斬新なことに変わりはありません。

 

 海外では、ドラマ『LOST』と『イエローストーン』を合体させたようだという意見がちらほらありました。『LOST』は孤島でサバイバルをするドラマ、『イエローストーン』は現代西部劇の人気ドラマです。日本では、星新一の「おーいでてこーい」に似ているという声がいくつか見られました。突然、謎の穴ができて、そこに人々がゴミを捨てるようになるという話です。設定は共通していますが、『アウターレンジ』で捨てるものはゴミではなく死体です。

 

 舞台となるワイオミング州は、アメリカ50州の中で最も人口が少ない州であり、広大な田舎という表現がぴったりくるような場所です。この物語において、広大な土地というのは重要な要素の一つです。牧場に謎の穴が100年以上もあって、それに気づいているのが数人しかいないんですから。土地が広すぎるのでなければ、そんなことはあり得ません。

 

謎!謎!謎!

 ドラマが、映画と比べて最も有利な点が何かわかります? それは、必ずしも結末を付けなくて良いことです。魅力的な謎で視聴者を引き付け続けることができるなら、エピソードやシーズンの中で謎を解決する必要はありません。そういう手法が許されているのです。

 

 ドラマ『アウターレンジ』は、そんな連続ドラマの利点を思う存分生かしています。農場に存在している謎の穴は、ありとあらゆる不思議な現象を引き起こしています。穴に落とされたロイヤルは未来を見て、古代生物のマストドンが出現し、山が消えています。こんなに不可思議な謎が出されたら、どうしても気になってしまいます。

 

 謎のほとんどは、シーズン1の時点では解決されません。わかったことといえば、

①穴を通ると異なる時間に移動する

②ロイヤルは子供の頃に19世紀からタイムトラベルしてきた

③オータムの正体はエイミーだった

ぐらいでしょうか。つまり、穴に関しては、時間移動ができることしかわかっていません。しかも、その時間移動のルールはまだわかっていません。子供の頃のロイヤルは数十年後、穴に突き落とされたロイヤルは数年後、エイミーは数年前、死体は1週間後、マストドンは1万2千年後に移動しているようなので、決まったルールがなさそうに見えます。

 

 穴と関連して、謎の鉱物もあります。ティラーソンの父親は、長年大事そうに鉱物を持っていました。この鉱物を破壊したロイヤルやルーク・ティラーソンは、黒い液体状の物体を発見しました。何かしらの未知生命体でしょうか。

 

 これらの謎は、シーズン2(あるとすればですが)で解決されるのでしょうか? いつまで経っても解決されないような気もします。穴の正体はともかく、時間移動のルールぐらいは明かされると、ストーリーの理解が進みそうです。そのくらいは、教えてほしい! ここで打ち切りになったら、もやもやしか残らないので、それだけは避けなければいけません。

 

殺人事件

 物語は、謎の穴をめぐるミステリーとトレバー・ティラーソン殺人事件をめぐるサスペンスが主軸になっています。殺人事件は、アボット家の長男のペリーが喧嘩で相手を殺してしまい、それを家族ぐるみで隠ぺいしたことから始まっています。

 

 ここで、ちょっとした疑問があります。死体を遺棄する場所を探していたロイヤルは、穴の中に放り込むことにしました。なぜ!? ロイヤルは、あの穴が単なる巨大なゴミ箱ではなく、過去か未来に通じるものだと知っています。だったら、穴に死体を捨てたら、いずれ発見される可能性があることはわかっていたはず。死体がマストドンの時代に送られたなら良かったのですが、実際には1週間後に送られただけでした。あんなに土地が広いのだから、面倒がらずに自分で地面に埋めれば、誰にも気づかれなさそうだったんですけどね。

 

 ロイヤルが死体を遺棄するのを目撃していたのが、オータムでした。ここからロイヤルとオータムは対立するようになり、殺し合いにまで発展します。オータムは、終盤でビリー・ティラーソンを仲間にします。歌ばかり歌っているあの青年です。登場するシーンでは、必ず何かを熱唱しているのが面白すぎます。オータムとキスしているときも、えらく唾液がたっぷり。おそらくどっちもネタのつもりだと思いますが、「どういうお笑い!」とツッコみたくなります。

 

 オータムは、死後にエイミー・アボットだったことが明らかになります。つまり、未来のどこかの時点で大人になったエイミーが現代に戻ってきたということです。普通は、過去に戻って自分の親戚に会うのは御法度とされていますが、オータムはわざわざアボット牧場にキャンプをしに来ました。その目的は、一体何だったのでしょうか?

 

 オータムがエイミーだと明らかになったことで、一つわかったことがあります。オータムの電話の相手です。彼女は、しばしばお金をせびったりするのに、電話で母親に電話をしていました。オータムはエイミーなので、電話をしていたのは当時失踪していた母親のレベッカということになります。つまり、オータムと失踪中のレベッカは、協力して何かの計画を進めていました。それが何なのかはわかりませんが、アボット家と穴に関係するものであることは間違いありません。

 

シーズン2の残された謎

 シーズン2が作られるかどうかはまだ決まっていませんが、ひとまずここで謎を整理して、シーズン2に備えておきましょう。細かい謎を挙げだすときりがありませんが、主な謎は3つに集約されます。

 

  • エイミーの母親とオータムの目的は何なのか?
  • 穴に落ちていったペリーはいつに行ったのか?
  • 穴は一体何なのか?

 

 最終話で、オータムがエイミーであることが明らかになり、失踪していたエイミーの母親が突如出現しました。2人は何度も電話で話し合っていたので、何かしらの共通した目的があると思われます。それは、一体何なのでしょう?

 

 エイミーの父親のペリーは、妻を探すために自ら穴の中に落ちていきました。あの穴は、どこか別の時代に通じていることはわかっているので、ペリーも過去か未来のどこかに飛ばされたことになります。それが、1週間後か10年後か100年前か1万年後かはわかりません。

 

 最大の疑問は、あの穴は一体何なのか? ということです。一種のタイムマシンのようなものであることはわかっています。でも、時間移動のルールは不明です。さらに、山が数秒間消滅した謎があります。鉱物と黒い液体の謎もあります。これらの謎が解き明かされることはあるのでしょうか?

 

総括

 あらすじを読んでも得体が知れなかった『アウターレンジ~領域外~』ですが、シーズン1が終わっても未だに多くの謎が残っています。謎はいずれも興味をそそられ、エピソード終わりのクリフハンガーも衝撃的なものが多かったので、いつも続きが気になっていました。そういう作りは、連続ドラマとしては上手い。ただ、あんまり謎ばっかりだして何も解決しないとフラストレーションが溜まってくるので、ちょっとずつでも謎が明かされてほしいのが本音です。

 

 主演のジョシュ・ブローリンは老カウボーイにぴったりで、いぶし銀の魅力がありました。その妻を演じたリリ・テイラーも、安定して素晴らしい演技を見せてくれています。ビリーを演じたノア・リードは、ブレイクするきっかけとなったドラマ『シッツ・クリーク』以上に多くの歌を熱唱していました。

 

 どのエピソードも演出はよくできているものの、個人的な感覚で言わせてもらえば、音楽の使い方が上手くないなと感じます。使い古された曲を使ってみたり、あえてドラマの雰囲気と違うロックな曲を使ってみたり。狙いはわからなくもないですが、やはりミスマッチでダサいと感じます。選曲に限らず、BGMの使い方とかノア・リードの歌とかも含めて。

 

 シーズン2が製作されるのであれば、きっとまた観ると思います。謎の解決の仕方次第では、グッと面白くなってくるのかもしれません。タイムトラベルSF×現代西部劇という設定は意外と魅力的でした。

 

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