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『主任警部モース』シーズン1全話ネタバレ感想

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 もう30年以上も前のドラマですが『主任警部モース』を観ました。『刑事モース』が好きなので、そのオリジナルを観ておこうと思ったのです。新米刑事時代と主任警部時代ではだいぶ性格が異なって見えますが、ミステリードラマとしてはどちらも一級品。今回は『主任警部モース』シーズン1全3話をネタバレありの簡単なあらすじと感想でまとめていきます。

 

 

主任警部モースとは?

 作家コリン・デクスターによって生み出された主任警部モースは、イギリスで最も人気のある探偵・刑事の一人です。イギリスでは、シャーロック・ホームズよりも人気があるとも言われています。モース関連の小説と映像作品には、以下の4つのシリーズがあります。

 

小説『モース警部』シリーズ 1975~1999年 長編13冊 短編集1冊

ドラマ『主任警部モース』1987~2000年 全33話

ドラマ『オックスフォードミステリー ルイス警部』2006~2015年 全33話

ドラマ『刑事モース~オックスフォード事件簿~』2012年~ 33話

 

 今も放送されている『刑事モース』は、モースがまだ新米刑事だった時代の話で、『主任警部モース』の前日譚に当たります。『主任警部モース』ではジョン・ソウが、『刑事モース』ではショーン・エヴァンズがそれぞれモースを演じています。

 

 

第1話「ジェリコ街の女」

あらすじ

 モースは、ジェリコ街に住む女性のアンとお近づきになろうとしたが、半年後に彼女は首を吊って死んでしまう。アンによく金をせびっていた若者のネッドや元雇い主で浮気相手のトニー・リチャード、その妻のアデル、トニーの弟のアランなどが容疑者として挙げられる。数日後、浮気相手の男を脅迫していたジャクソンが殺される。

 

 モースは、犯人はソフォクレスである、つまり『オイディプス王』の物語のような事件だったのではないかと推理する。ネッドは、かつてアンが養子に出した息子であり、2人はそのことを知らずに関係を持ってしまったが、親子であることを知ってアンは自殺してしまったのだと。しかし、これを裏付ける証拠は出てこなかったため、却下される。

 

 モースは、リチャード家の3人を集めて謎解きを行う。途中でルイスが入ってきたことで、指紋採取のときにリチャード兄弟を取り違えていたことが発覚。逃げ出した本物のアランを捕まえて一件落着。発見されたアンの遺書を読んだモースは、とぼとぼと帰途に就いた。

 

感想

 事件のトリックはどこかで見たことがあるようなものでしたが、それは重要ではありません。ジョン・ソウ版モースの初登場です。小説を読んでいたのでどんなキャラクターかは知っていましたが、やはり『刑事モース』とはかなり印象が違います。女性問題に一人でヤキモキして、結局、何も出来ずに帰っていくのは哀愁があります。でも、いつも酒飲んでる。そして、ルイス! モースに良いようにこき使われています。ルイスの「実は今日、誕生日なんですよ」は、人懐っこさが見えて可愛い。

 

第2話「ニコラス・クインの静かな世界」

あらすじ

 海外学力検定試験委員会の委員で難聴を持つニコラス・クインが自宅で殺された。容疑者は、事務局長のトム・バートレット、事務局長代理のオグルビー、委員のモニカ・ハイト、委員のドナルド・マーティン、評議員のループなど。

 

 捜査の過程で、マーティンとハイトが不倫をしていたことが明らかになる。事件当時、2人はハイトの家でいたと証言したが、これも嘘であることが分かり、実際には映画館でポルノ映画を観ていたことが明かされる。同じときにトムも映画を観に来ていたが、2人がいるのに気づいて映画が始まる前に退出した。

 

 数日後、オグルビーが殺された。事件の犯人は試験問題を流出させている人物であり、ニコラス・クインはその人物に疑いを抱いたために殺されたことは確実視されていた。パズル作家でもあるオグルビーも、個人的な調査の中で真相に気づいたために殺されたとされる。

 

 モースは、犯人は事務局長のバートレットだと推理した。しかし、真の犯人はマーティンとループだった。読唇術を心得ていたクインも同様の間違いをしており、バートレットとマーティンを読み間違えていた。マーティンは、正午の避難訓練の最中にクインを青酸カリで殺害し、その後はループとともにクインがまだ生きていると見せかけるための工作を行っていたのだ。

 

感想

 オックスフォード大学の入試を作る組織という珍しい場所が舞台になっています。これは原作を読んだことがあるのでまだ良かったのですが、ドラマだけ観て内容を理解するのはかなり厳しいんじゃないかというくらい細かな嘘とトリックが盛り込まれています。『主任警部モース』シリーズのミステリーはだいたいそんな感じですが、これは特に真相が入り組んでいます。どいつもこいつも嘘を吐きすぎ。正直なのは家族と『101匹わんちゃん』を観たいというルイスの気持ちだけ。

 

第3話「死者たちの礼拝」

あらすじ

 ミサの最中に、教区委員のハリー・ジョゼフスが殺された。容疑者は、妻のブレンダ、牧師のライオネル・ポーレン、オルガン弾きのポール・モリス、清掃担当のルース・ローリンスン、ホームレスのスワンポールら。スワンポールは、実は牧師の弟のシモン・ポーレンだった。後に、被害者はナイフで刺される前に大量のモルヒネを盛られていたことが明らかになる。

 

 ブレンダは、ポールと不倫をしていた。それから数日のうちに牧師のライオネルが教会の屋上から自殺、ポール・モリスは絞殺されて、その息子は地下に埋められ、ブレンダも殺された。犯人がルースを絞殺しようとしたとき、モースは止めようとする。犯人は屋上に逃げ、ルイスが殴ったところ、落っこちて死んでしまった。

 

 犯人は、最初に殺されたと思われていたハリーだった。本当の最初の被害者はサイモンだったのだ。サイモンは、モルヒネで寝かされているときに服を着替えさせられ、関係者はサイモンを死体をハリーのものだとみんなで証言していた。モースが恋をしていたルースは従犯として起訴されたが、モースの証言のおかげで短めの刑期が下された。

 

感想

 大トリックです。人物の入れ替えトリックが『主任警部モース』ではよく出てきますが、これが一番大胆で面白いと思います。実際問題として、そんなことが可能なのかは置いておくとして。独身モースは、同じく独身の女性に出会うとすぐに口説いて、ときにデートに発展することぐらいはあるのですが、それ以上の関係には全然ならないですよね。今回も、ルースはハリーと付き合っていましたから、元から真面目な関係に発展するわけがなかったのです。それがわかってからも、裁判ではルースを擁護する発言をするモース。ちょっと切ない。

 

まとめ

 自分は、これまでに『刑事モース』シーズン5まで観て、次に小説の『ウッドストック行最終バス』『キドリントンから消えた娘』『ニコラス・クインの静かな世界』の3冊を読んできました。なので、若モースから入ったとは言っても、小説で老モースのキャラクターは知っていたので、そのあまりにも大きな変貌によるカルチャーショックは今回はありませんでした。

 

 でも、ここで初めて老モースを知る人は、かなり意外な印象を受けるんじゃないかと思います。『刑事モース』の若モースは、繊細で女性に対しても奥手。一方、『主任警部モース』の老モースは、いつでも酒を飲み、部下のルイスをこき使い、同年代の独身女性にはどんどん言い寄っていきます。若い頃にだいぶ女性関係をこじらせたのかなと勝手に想像してしまいます。

 

 その中でも、クロスワード好きとクラシック音楽好きなところは変わっていません。『刑事モース』の繊細なモースが、『主任警部モース』のような老モースにどうやって変わっていくのかが『刑事モース』を観ていく上で楽しみになってきました。

 

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