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Netflixドラマ『マインドハンター』シーズン2感想~悪の深淵を覗く~

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The only truth is now. Now is the only thing that's real. 

- Charles Manson in Mindhunter season 2

 

 実話に基づく心理クライムドラマ『マインドハンター』のシーズン2。ついにホールデン・フォードとビル・テンチは、チャールズ・マンソンとの対決を果たし、そして現実のシリアルキラーに挑む。ネタバレあり。

関連記事:Netflixドラマ『マインドハンター』シーズン1紹介&感想~理解不能を理解する~ - 海外ドラマパンチ

 

 

 

『マインドハンター』シーズン2基本データ

・原題:Mindhunter

・配信元:Netflix

・配信日:2019年8月16日

・あらすじ:

 FBIの行動科学課に所属するホールデン・フォードとビル・テンチは、プロファイリング手法を確立させるため、サムの息子やチャールズ・マンソンといった凶悪犯罪者と面会を重ねる。そして、アトランタで起きている児童連続殺人事件に挑むことになる。

・予告編:

www.youtube.com

 

『マインドハンター』シーズン2感想(ネタバレあり)

①面会

 『マインドハンター』シーズン2は、前半はシーズン1と同様に犯罪者との面会がメインになります。シーズン2では、ついに世紀の大犯罪者チャールズ・マンソンも登場します。チャールズ・マンソン(より正確にはマンソン・ファミリー)といえば、女優のシャロン・テートを殺害したことで有名です。この事件は、昨年のタランティーノの映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でも描かれていました。

 

 ちなみに、『マインドハンター』と『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でチャールズ・マンソンを演じたのはどちらもデイモン・ヘリマンという俳優だそうです。

 

 マンソンが、これまで『マインドハンター』に登場してきた犯罪者たちと違うのが、他人を洗脳して犯罪をやらせていたということ。自分が犯罪をするのとは、全くわけが違ってくるのですね。マンソンに面会したビルは、まんまとマンソンに乗せられてしまいます。そのせいで、マンソンに関してあまり重要な発見は得られなかったようですが、ホールデンのサングラスの件で彼が自分を誇張しがちな人間であるということはわかりました。

 

 個人的にマンソンの面会より面白かったのは、サムの息子との面会シーン。サムの息子は連続殺人を「悪魔の声」に従ってやったと言っていたのですが、ホールデンらにより嘘だったとわかります。容疑者の尋問シーンはこれまで他の作品でもたくさん観てきましたが、これは特に面白い。真実が明らかになっていくのが手に取るようにわかります。会話だけのシーンでありながらも、ホールデンの巧みな話術により、事実が明らかになっていく様はとてもエキサイティングでした。

 

②捜査

 後半は一転して、児童連続殺人事件の話。いわば、これまでのプロファイリングの応用編的ですね。ホールデンは、犯人を20~30代の黒人男性だと推定し、この特徴にあった犯人を探していきます。ただ、あくまでもプロファイリングは捜査の補助的な役割でしかないのであって、この特徴に合わない人物もちゃんと捜査するべきでしょう。その点、ちょっとホールデンの考え方は極端で、ビルの方がやっぱり正しいのかな。

 

 この事件を余計に厄介にしているのが、人種差別問題です。当時、黒人を殺しているのなら白人が犯人だと考えるのは当然だったのかもしれません。だから、ホールデンの犯人像はその真逆と言えるわけで、人種差別的だとも捉えられかねません。被害者の会も、少し障害になっているようでした。そんな中、ホールデンは事件解決のために奔走します。面会パートとはうって変わって動きの多い展開でしたが、これはこれでやはり面白かったです。

 

 ラストは、個人的にはかなり衝撃でした。この連続殺人事件は、最終的に解決しないんですよね。一応、犯人を見つけたものの、彼が一人で全ての殺人をやったとは考えにくい状況です。実際に、彼が起訴されたのも2件だけで、他の27件は未だに不起訴のままです。事件が完全には解決されないラストというのは、最近はちらほら見るものではあります。しかし、今回の事件は実話です。実際に27人の子供を殺した人物が捕まっていないのです。最終話で、改めてその事実を突きつけられて、胸に重くのしかかってくるものがありました。

 

③命題

 事件と同時進行で進んでいくのが、ビルの息子の件です。ビルの息子のブライアンは、年上の子供たちと遊んでいるときに幼児を殺してしまった場に居合わせてしまいます。そこでブライアンは、キリストの復活に倣い、その幼児を生き返らせようと十字架に磔にします。考え自体は思いやりから発したものかもしれませんが、やっていることは凶悪犯罪者とさほど変わりません。

 

 シーズン1の感想で、「犯罪者にも犯罪者なりの論理があるだろう」と書きましたが、ブライアンについてもそうです。私たちには理解できなくとも、彼なりの論理に従った行動だったのです。ただ、ブライアンも幼児の死には大きなショックを受けていたようです。彼が、果たしてこれからソシオパスになってしまうのか、それとも周りの大人のサポートによりちゃんとした大人になれるのかが、このシリーズの大きな命題となっていくでしょう。犯罪を未然に防ぐことも、プロファイリングの主な目的の一つなのですから。

 

まとめ

 『マインドハンター』、とても面白かったです。自分も普段から刑事ドラマやサスペンス映画はよく見ているのですが、『マインドハンター』はその中でも異色にして出色の出来なのではないかと思います。派手に机を叩くといったこともしなくて、これほど面会シーンが面白くなるのだというのは発見ですよね。サブストーリーとしてのビルの息子の話も興味がそそられるもので、この先がとても気になります。

 

 どうやら、Netflixはまだ『マインドハンター』をシーズン3に更新するか決めていないそうですが、これはお願いしますよ。各話の冒頭に出てくるシリアルキラーの話もまだ全然していないじゃないですか!ぜひシーズン3へ更新してください。頼む。

 

↓実在の連続殺人犯シャルル・ソブラジの物語

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