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海外ドラマ『メア・オブ・イーストタウン』ネタバレ感想:変えられない真実

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I always imagined I’d be a cop. It’s the life around me I didn’t expect to fall apart so spectacularly.

- Mare Sheehan, Mare of Easttown 

 

 HBOのドラマ『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』は、アメリカで放送されていたときに大きな話題になっていたので、このドラマを観られることをずっと楽しみにしていました。その期待に違わぬ面白い作品だったと思います。今回は『メア・オブ・イーストタウン』のネタバレありのあらすじ&感想です。

 

 

ドラマ『メア・オブ・イーストタウン』基本データ

・原題:Mare of Easttown

・製作:HBO

・放送日:2021年4月18日~5月30日

・脚本:ブラッド・イングルスビー

・監督:クレイグ・ゾベル(映画『ザ・ハント』『コンプライアンス 服従の心理』)

・主演:ケイト・ウィンスレット

・あらすじ:

 田舎町イーストタウンの刑事メア・シーアンは、1年前に失踪した少女の事件が未解決のままだった。そこに、新たに殺人事件が起こる。

・予告編:

www.youtube.com

海外ドラマ『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』はU-Nextで独占配信中。

 

登場人物

メア・シーハン:部長刑事

ヘレン・フェイヒー:メアの母

シボーン・シーハン:メアの娘

ケビン・シーハン:メアの息子

ドリュー・シーハン:メアの孫、ケビンの息子

キャリー・ライデン:ケビンの妻、ドリューの母

フランク・シーハン:メアの元夫

フェイ:フランクの再婚相手

 

ロリー・ロス:メアの友人

ジョン・ロス:ロリーの夫

ライアン・ロス:ロリーの息子

モイラ・ロス:ロリーの娘

ビリー・ロス:ジョンの弟

 

エリン・マクメナミン:一児の母

ケニー・マクメナミン:エリンの父、ジョンの従兄弟

ディラン・ヒンチー:エリンの元カレ

ブリアナ・デルラッソ:ディランの今カノ

トニー・デルラッソ:ブリアナの父

ジェス・ライリー:エリンの友人

 

ケイティ・ベイリー:1年前に失踪した少女

ドーン・ベイリー:ケイティの母

 

ダン・ヘイスティングス:牧師、メアの従兄弟

マーク・バートン:助祭

 

カーター署長:メアの上司

コリン・ゼイベル:郡警察に所属する刑事

ベティ・キャロル:メアと親しい老人

グレン・キャロル:ベティの夫

リチャード・ライアン:作家

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

ドラマ『メア・オブ・イーストタウン』ネタバレ感想

 HBOの刑事・クライムドラマといえば、2014年の『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』がおそらく最も有名でしょうか。その後も、2016年の『ナイト・オブ・キリング/失われた記憶』、2017年の『シャープ・オブジェクト KIZU-傷-:連続少女猟奇殺人事件』、同じく2017年の『ビッグ・リトル・ライズ』などは、いずれもエミー賞にノミネートされています。近年のHBOが手掛けるこのジャンルのリミテッドシリーズは総じてクオリティが高いです。

 

 そのHBOが2021年に送り出したのが『メア・オブ・イーストタウン』。主演は、皆さんご存じケイト・ウィンスレット。ジーン・スマート、アンガーリー・ライス、エヴァン・ピーターズらが脇を固めます。ガイ・ピアースは、ちょこちょこ顔を出すぐらいで、出演時間はそんなに長くありません。

 

①第1~5話あらすじ&感想

 主人公のメアが住むイーストタウンは、町の全員がメアの親戚か知り合いのような田舎です。この町では、1年前にケイティ・ベイリーという少女が失踪しており、今度は若い母親だったエリン・マクメナミンが遺体となって発見されます。

 

 メアは、郡警察から応援に来たゼイベルとともに捜査に当たります。当初は、エリンの子供の父親とされていたディランや、その今カレのブリアナが容疑者として挙げられます。しかし、実は子供の父親がディランではなかったことが判明します。メアの元夫が父親なのではないかと一時は言われましたが、親子鑑定の結果そうではないことが明らかになっています。

 

 ちょっと気になったのが、自分の記憶違いでなければ、ディランが父親ではないと言われるシーンが存在しません。これだけなら特に気にも留めなかったのですが、たぶんもう一か所あります。メアが助祭の昔の教区に事情聴取に行った場面もありません。編集でカットされたのか、あるいは意図的に入れていないのか。これらの場面がなくたって話は分かるので、本当に些細な話でしかないのですが。

 

 事件捜査が進む中、助祭は常に怪しげな存在です。エリンがなくなった夜に電話をしており、前の教区で未成年に対する性的虐待の容疑が掛かっており、エリンの自転車を川に捨てています。怪しいどころではない。黒に限りなく近いグレーです。でも、ミステリーでは、最も怪しい人は犯人ではないという暗黙の原則があります。なので、ひねくれた考えをするなら、むしろ助祭は真っ白です。

 

 メアとゼイベルは、被害者たちが売春をしていたという共通点から、過去に危ない男に会ったことがあるという同業の女性を見つけます。彼女は、男の容姿の特徴に加え、車の色やナンバーまで覚えていたことで、捜査は一気に進展。2人は、容疑者の男の家を見つけます。

 

 男の特徴にピッタリ一致するだけでなく、怪しげな音がしてくることから、男が監禁犯であることはあっさりバレてしまいます。直後に、ゼイベルは頭に銃弾を食らいます。ツラい……。メアは、必死の抗戦により助かり、監禁されていた2人の少女を救出することが出来ました。

 

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②第6~7話あらすじ&感想

 ここまでが、5話の話です。あと2話も残っているので、エリン殺しの犯人は監禁犯は別にいるに違いないと邪推してしまいます。その通りでした。今度は、ジョンの弟のビリーの容疑が濃厚になってきます。エリンが殺された夜に血の付いたシャツを洗っていたほどなので、これは犯人に違いない!

 

 とは思ったのですが、その後にジョンが銃を持ってビリーとともに釣りに行くというのです。何のために?ビリーが犯人であることがバレてしまったのなら、今さら殺して何の意味があるんだ?ここで、第6話の終わりです。

 

 第7話は、その直後から幕を開けます。エリンの親友だったジェスが、驚きの写真を出します。エリンと寝ていたのは、ビリーではなくジョンでした。ジョン~~~、クズ野郎だった~~~!しかも、ベッドでエリンとジョンがめっちゃ良い笑顔なんだけど。

 

 不倫&未成年との性交であるにも関わらず、楽しそうに写真を撮っていたことには驚かされます。もしかしたら、エリンは関係を持っていたときから、万が一のときにジョンを脅せるように写真を撮っていたのでしょうか?だとしたら賢い。が、脅迫にはリスクが付き物。結局は、そのことがきっかけでエリンは殺されてしまいました。

 

 エリンから脅されたジョンが、彼女を殺害したということで事件は一旦解決します。しかし、その後、いくつか不思議な点が出てきます。ジョンは事件に使われた銃をどこで手に入れたのか。ジョンは、殺害後すぐにフランクの婚約パーティに行ったと供述していましたが、そのときの様子はあまりにも普通で、人を殺した後とは到底考えられなかったとか。また、ジョンは別の女性と不倫をしていたとされていますが、どうやらそれも真実ではなさそうです。

 

 不倫の件を証言したのは、ジョンの息子のライアンです。これらの不思議な点から導かれる結論は一つしかありません。真実を知ったメアは、母親のロリーといたライアンを逮捕します。ジョンの不倫によって家族が分裂しかけたことを経験していたライアンは、今度はそれを防ごうと、エリンとジョンの関係をロリーから隠そうとします。それでも、2人の関係がなかなか終わらないことをしったライアンは、エリンにジョンから離れるように警告します。事件は、そのときに起きたのでした。

 

 ライアンは、決して悪い子ではないんですよ。むしろ、妹のためにいじめっ子に立ち向かうような優しさを持っています。今回の事件も、家族をなんとか守ろうとして起こったものでした。

 

 ジョンが犯人ということにしておけば良いではないか。母親のロリーに限らず、私たちもメアもそう思っていると思います。でも、真実はときに残酷です。起こってしまったことを変えることは出来ません。その真実を知ってしまったことも、また変えることの出来ない事実なのです。

 

③メアの家庭

 事件捜査と同時並行に、メアの生活も描かれていきます。過去に、息子のケビンが自殺した過去を持つメアは、現在は母親や娘、孫のドリューなどとともに暮らしています。タブレットゲームが好きな母親のヘレンは愉快な人物ですが、ときに母親としてメアを支えます。良いキャラでした。

 

 娘のシボーンは、バンドをやっています。最後の結婚式のシーンで、アンガーリー・ライスは実際にパット・ベネターのWe Belongを歌っていました。シボーンの場面だけは、フィービー・ブリジャーズやクレイロが流れたりするので、耳に楽しかったです。髪型もカッコ良かった。

 

 こういった刑事ドラマに珍しく、メアは家族と仲が良いです。思春期の娘との関係は良好で、元夫のフランクとは色々愚痴を言いながらも上手くやっています。殺人事件の捜査の中では、ちょっとホッとさせられます。

 

 
 
 
 
 
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④中年の女性刑事が主人公

 『メア・オブ・イーストタウン』は紛れもないHBOのクライムドラマなのですが、どちらかというイギリスのBBCが作りそうなドラマだなとは、ずっと思っていました。具体的には『ハッピー・バレー 復讐の町』にそっくりなんですよ。主人公が40代の女性刑事で、子供が自殺した過去を持ち、孫を育てているというところとか。

 

 これは、近年のアメリカのテレビドラマ界を見ている限りでは、ある部分では必然だと思います。女性刑事が主人公の映画・ドラマは少なからずありますが、これまではそのほとんどが若い主人公でした。40歳を超える女性が主人公なのは『ジェシカおばさんの事件簿』(これだって別に刑事ではない)ぐらいで、本当に少ない。

 

 一方で、イギリスでは『ハッピー・バレー』を筆頭に『ブロードチャーチ 殺意の町』『埋もれる殺意』など、40歳を超える女性が主人公の刑事で、高い評価・人気を得ているドラマがいくつかあります。アメリカが、このタイプの主人公を作り出したとき、その内容がイギリスのものと似てしまうのは部分的には仕方ないのかもしれません。

 

 最近のハリウッドは、テレビドラマ界を中心にようやく変わりつつあります。『メア・オブ・イーストタウン』では、ケイト・ウィンスレットが製作にも参加しています。編集の際に、ウィンスレットがもう少し痩せたり顔の皺を消えて見えるような加工をしようとしたときには、断固として抗議をしたといいます。この物語は、中年の女性の物語なのだから、年齢相応の容姿をしていて当然だと。

参考記事:46歳ありのままの身体を映すケイト・ウィンスレットの思い - フロントロウ

 

 結果的に、このドラマはアメリカで大ヒットを記録しました。最終回がHBO Maxで配信されたときには、サーバーがダウンしてしまうほどだったそうです。これは、必ずしも若い女性が主人公ではなくても、作品が面白ければヒットすることの証拠です。今後は、エイジズムに捉われない多様な主人公の作品が見られるようになることでしょう。

 

 ケイト・ウィンスレットは、2021年のエミー賞で主演女優賞(テレビ映画/リミテッドシリーズ部門)を受賞。アカデミー賞受賞経験があり、2011年のエミー賞でも『ミルドレッド・ピアース』で同部門を受賞しているウィンスレットですが、今回はI am the winner!と大喜び。製作にも携わった本作には、強い思い入れがあるのでしょう。

 

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関連作

 『メア・オブ・イーストタウン』が面白かった人は、ぜひ『ハッピー・バレー』(U-Next, Hulu, Amazonプライムビデオ)を。また、同じくHBO製作で女性主人公のクライムドラマ『シャープ・オブジェクト』(U-Next)、BBC製作の『ブロードチャーチ』(Amazonプライムビデオ)もおすすめです。

 

 なお、『メア・オブ・イーストタウン』にシーズン2があるかどうかですが、今のところないとされています。リミテッドシリーズとは、1シーズンで完結することを前提として作られる作品なので。ただし、HBOは以前にも、リミテッドシリーズとしていた『ビッグ・リトル・ライズ』のシーズン2を作ったことがあるので、0.1%ぐらいの可能性はあるかもしれません。

 

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