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ドラマ『THE LAST OF US』シーズン1全話ネタバレ感想|心と精神に訴えるアポカリプス紀行

If you don’t think there’s hope for the world, why bother going on?

- Ellie Williams, The Last of Us season 1

 

 世界的人気ゲーム『THE LAST OF US』(ラスト・オブ・アス)をHBOがドラマ化。HBOでの視聴者数は『ゲーム・オブ・スローンズ』以降で最多となり、早くも2023年最高のドラマとの声が聞こえてくるほど高い評価を得ています。

 

 私自身は、ゲームの『THE LAST OF US』をやったことはありませんが、これだけ絶賛されているのを知って居ても立っても居られなくなり、U-NEXTでシーズン1全9話を視聴しました。今回は『THE LAST OF US』シーズン1について、エピソード別にネタバレありで感想を述べていきます。

 

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基本データ

  • 原題:The Last of Us
  • 放送局:HBO(アメリカ)
  • 放送期間:2023年1月16日~3月12日
  • 話数:9
  • 脚本:ニール・ドラックマン、クレイグ・メイジン
  • 主演:ペドロ・パスカル、ベラ・ラムジー
  • あらすじ:2003年、人間に寄生して狂暴化させ、人に嚙みつくことで広まる胞子生物”クリッカー”によって文明が瞬く間に崩壊した。20年後、中年の男ジョエルは、文明復活の鍵を握る14歳の少女エリーとともに旅を始める。

予告編

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海外での評価

 ゲーム『THE LAST OF US』(ラスト・オブ・アス)の原作者のニール・ドラックマンとドラマ『チェルノブイリ』のクレイグ・メイジンが手掛けたドラマ版『THE LAST OF US』は、放送前から非常に注目を集めていました。第1話は、HBOで史上2番目に多くの視聴者を集めました(1位は『ゲーム・オブ・スローンズ』のスピンオフの『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』)。

 

 Rotten Tometoesでは批評家から96%フレッシュを獲得し、IMDbでは一般視聴者の平均で10.0点満点中9.0点を獲得しています。これは、これまで放送された全テレビ番組の中で上位30位以内に入るほどの高評価です。

 

 評価の高さを受けて、視聴者数もどんどん伸び、シーズン1最終話の視聴者数は第1話から74.5%増。HBOおよびHBO Maxでのシーズン平均視聴者数は約3,040万人と発表され、これは『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(2,900万人)を抜いて『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章以降では最多となりました。

参照記事:‘The Last of Us’ Season 1 Finale Ratings Hit Series High – The Hollywood Reporter

 

 

シーズン1各話感想

第1話「闇の中にいるときこそ…」

 ゾンビ映画では、必ず序盤にゾンビが初めて人々を襲い始めるシーンというものがあります。2004年の映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』では、平和な朝の寝起きの次の瞬間に子どもゾンビが登場し、主人公が外に逃げていく背景で、近隣の人々が次々と襲われていくスペクタクルがありました。このような序盤の「日常が崩れていく様」をどのように見せるかは、ゾンビものでも特に重要なチェックポイントの一つです。

 

 ドラマ『THE LAST OF US』も、序盤では平穏な日常が描かれます。このときの視点人物は、ジョエルの娘のサラです。しかし、私は知っていました。『THE LAST OF US』の主人公はジョエルとエリーだと聞いていたので、サラはきっとすぐに死んでしまうんだろうと。だから、サラがいつ、どのように死んでしまうか気が気ではありませんでした。

 

 アポカリプスは、ジョエルの家の隣の家に住んでいるおばあさんが、クリッカー(『THE LAST OF US』の世界ではゾンビのことをそう言うようです)になってしまったことから始まりました。ほとんど動けなかったおばあさんが、いきなり狂暴になって襲い掛かってくるのだから恐ろしい。でも、サラはなんとかこの場面を生き残りました。

 

 サラとジョエル、ジョエルの弟のトミーは、車に乗って逃げ始めます。街中にやってきた3人は、人々が逃げまどっている様子を目撃します。すると、いきなり飛行機が墜落してきました。操縦士がクリッカー化して飛行機が操縦不能になってしまったのでしょうか。壮大なスペクタクルでした。1カットが長かったこともあり、臨場感もありました。

 

 サラは、この事故でもまだ死んではいません。サラはその後、命令を受けた軍人によって射殺されました。サラを殺したのは、クリッカーではなく人間でした。本当にやるせない。ジョエルにとってこの経験がトラウマになったのはもちろん、観ているこっちにとってもだいぶショッキングな出来事です。

 

第2話「感染」

 ジョエルとテス、エリーの3人は、ファイアフライの基地へ向けて旅をしています。その途中で、ある博物館の中を通る必要に迫られました。ところが、その博物館は真っ暗で、菌もそこら中にはびこっています。”奴”がいる雰囲気満々です。

 

 ここで一つ指摘しておきたいのですが、第2話のこの場面までで、クリッカーはその完全な姿をまだ一度も見せていません。第1話のおばあさんはクリッカーでしたが、あれは口からちょっと胞子が出ていただけでした。つまり、視聴者はクリッカーがどんな姿をしているのか、どれほど狂暴なのか、まだよくわかっていないのです。

 

 それでも、私たち視聴者は、クリッカーがどれだけの影響を社会に与えたかということは知っています。わずか数日で文明を崩壊させてしまうほどの存在なのです。しっかりとクリッカーへの恐怖は植え付けられているのですが、でも実態がわかりません。だから、クリッカーとの初対面となるこの博物館のシークエンスは余計に怖い。

 

 ついに全貌を見せたクリッカーは、実に恐ろしい姿をしていました。しかも、とんでもなく獰猛です。自分だったら、噛まれるどころでは済まずに、秒で首をもぎ取られて死んでしまったでしょう。でも、ジョエルとテスはさすが20年間あの世界を生き抜いてきただけあって見事に生還します。

 

 ところが、このときにエリーとテスがクリッカーに噛まれたことがわかりました。エリーは問題ありません。エリーはクリッカーへの抗体を持っているらしいので。問題は、テスです。遅かれ早かれクリッカーになることが運命づけられたテスは、最後にジョエルとエリーを救うために、自らの身を呈して大量のクリッカーたちに立ち向かうことを決心します。美しいシーンではありましたが、ツラいですねぇ。

 

第3話「長い間」

 一転して、第3話ではビルとフランクという2人の男の物語がつづられます。覚えておかなければならないのが、この世界は2003年で崩壊してしまったため、科学技術だけでなく価値観もその時点でストップしてしまったということです。2003年時点の一般的な価値観は、今ほど同性愛者に対して寛容的ではなかったはずです。

 

 ビルとフランクは、2人だけで自給自足の生活を始めます。荒廃した世界の中で、2人だけで幸せな世界を作り上げ、生活しています。世間の目を気にすることなく、愛に溢れた日常をこの2人が送ることができたのは、パンデミック後の幸せな出来事でありました。

 

第5話「耐えて生き抜け」

 第4話「この手につかまって」に引き続き、反乱軍が統治するカンザスシティーでの出来事が描かれます。ジョエルとエリーは、ヘンリーとサムの兄弟に出会い、街からの脱出を目指します。エリーとサムが遊んでいるのがとても愛らしかったのですが、このエピソードは残酷な結末を迎えます。

 

 反乱軍に見つかり、殺されるところだった兄弟ですが、ちょうどその瞬間にタイミング良くクリッカーの大群が現れました。目も当てられぬ大惨事が繰り広げられる中、4人組はなんとか脱出します。しかし、サムは噛まれていました。狂暴化したサムを兄のヘンリーは射殺します。ヘンリーは、サムのために反乱軍を裏切ったのですが、結局は自らの手でサムを殺してしまったのでした。

 

 あまりの不条理さに、ヘンリーは耐えきれずに銃口を自分の頭に向けて発砲してしまいます。本当にもうやるせない。どうしようもない。エリーの叫び声が忘れられません。

 

第7話「残されたもの」

 エリーの過去が明かされます。やんちゃではありながらも軍の人間として社会を少しでもマシなものにしたいと考えているエリーと、その親友で反乱軍のファイアフライに加入したライリーの最後の夜が描かれます。

 

 やっぱりショッピングモールなんですね。ゾンビ映画の金字塔『ゾンビ』(1978年)でショッピングモールが舞台になって以来、ゾンビといえばモールみたいなところがあります。実際、人が全くいないモールは異様に感じますし、その中で遊びまくれるのは夢があります。エリーに関しては、エスカレーターの時点で大興奮ですから、さぞ異世界のような体験だったでしょう。

 

 しかし、楽しみは長くは続きません。エリーとライリーはクリッカーに噛まれてしまい、ライリーは「どうせなら一緒におかしくなろう」と提案し、2人は最期のときを過ごします。

 

 もぉ~~毎回切なすぎる! 2人が互いの想いに気づいた直後にこれですからね。しかも、この後に実際に死ぬのはライリーだけで、エリーは彼女をおそらく殺しているわけです。いやはや、なんとも……。

 

第8話「困っている時は」

 ジョエルが瀕死状態なので、エリーは1人で敵の集団に立ち向かいます。最初は、牧師が率いているだけで変わったところのない集団のように見えましたが、後に実際には人肉食も行う人たちであることが判明します。途端に狂暴な表情になった牧師とエリーは、決死の戦闘を繰り広げます。

 

 これまで、大事な場面ではジョエルに助けてもらっていたエリーが、ついに1人立ちをしたような気分です。そんなに可愛らしいものではありませんが。でも、何かエリーの成長を感じました。

 

第9話「光を探せ」

 シーズンフィナーレ。ジョエルとエリーは、ファイアフライの病院に辿り着きます。しかし、そこで彼らが行おうとしていたのは、エリーの脳を切り開く手術でした。これを行えば、世界が救えるかもしれません。その代わり、エリーは死にます。このことを聞いたジョエルは、迷う間もなくエリーを救うためにファイアフライ軍団を皆殺しにします。

 

 ジョエルなら、間違いなくそうするでしょうね。特に、その直前に「サラを亡くした痛みを癒したのは時間ではない」と言ってエリーの方を向いたことからも、ジョエルがエリーを娘のように大事に想っていることがよくわかります。だから、全人類を犠牲にしてでもエリーを助けるわけです。ジョエルはそういう男です。

 

シーズン1総括

 圧巻でした。ゲームの方はやったことがありませんでしたが、それでも十二分に楽しむことができました。本当に素晴らしいストーリーです。もちろん元のゲームの良さもあると思いますが、第3話のビルとフランクの物語はほとんどオリジナルだと聞いているので、ドラマ化するにあたって、改めてストーリーをしっかり作りこんだんだろうなと思います。

 

 各話の終わりは、非常に印象的で複雑な気持ちにさせられるものが多かったです。今風に言うなら、これほどクソデカ感情を毎回感じさせてくれるドラマもなかなかありません。このドラマを一気見したら、あらゆる感情に埋もれて窒息してしまうところだったので、週一ペースで観られたのはちょうど良かったです。

 

 荒廃したアメリカの世界観とクリーチャーの造形も文句なしでした。特に、世界観に関しては、ゲームが原作ということもあり、主人公の視点に沿った展開が多く、より没入感が高かったと思います。

 

 これほど人気のドラマなので、もちろんシーズン2が製作されることも決まったのですが、果たしてシーズン2ではどんな話をやるのでしょうか。基本的にはゲームの『THE LAST OF US PART II』に従うとは思いますが、とするとこのドラマはシーズン2で完結してしまうのでしょうか。オリジナル要素も楽しみに、シーズン2までの約2年ほど首を長くして待っています。

 

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