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『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章について(ネタバレあり)~GoTにしか出来ない背負い投げ~

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I know death. He's got many faces. I look forward to seeing this one.

- Arya Stark, Game of Thrones season 8 episode 2
 

 先日、『ゲーム・オブ・スローンズ』を一気見したので、今回は最終章(第8シーズン)の感想を書いていきます。聞いたことがある方もいると思いますが、この最終章は全世界で賛否両論となっています。個人的には、好きなところもあるんですけどね。特に第5話には。

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『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章感想

 最終章(シーズン8)は、まさに賛否両論といった評価が一般にされています。ほとんどの場合「賛否両論」というときは、否の方が多いのですが、今回は真っ二つに分かれています。世界最大のレビューサイトIMDbでも、最高の10点付ける人と最低の1点を付ける人がほぼ同数となっており、ここで長き夜の戦闘がおきるんじゃないかというぐらいです。

 

 そんな評判は私も聞いていたので、少しビビりながら最終章を観ていきました。結論からいえば、第5話は全体的に肯定派ですが、その他は気になるところも多いといったところです。

 

 第5話というのはデナーリスのあのエピソードのことですが、これは伏線もしっかりあったので全然アリです。彼女は奴隷解放を行う一方で、以前から親方を皆殺しにするなどといった極端すぎる政策もしばしば行っていました。それまでは、周囲の人間のおかげで何とか衝動をある程度抑えられていたのですが、最後に爆発してしまったのでしょう。王都が徹底的に焼き尽くされる映像の迫力もあり、第5話はよく出来ていると思います。

 

 ただ、その次の第6話(最終話)は今一つ。それまでのストーリーがほとんど反映されていないのです。デナーリスの死が意外とあっけなかったり、ジョン・スノウの血筋について言及されなかったり、どうもパッとしない。人気シリーズの最終話というのは難しいものですが、この終わり方に関しては目に見えて妥協をしてしまったように感じます。

 

 最終章で、意外と良かったのがハウンドの話。アリアと腐れ縁みたいな関係にあり、最終的に兄のマウンテンと対決するのは良かった。夜の王をアリアが倒すというのも、めっちゃカッコ良かったです。全体的に、アリア周辺のストーリーの締め方は好きでした。

 

ファンタジーシリーズとしての最終章

 私は、最終章第5話にはよくぞやってくれた!という風に感じています。『ハリー・ポッター』にしろ『ロード・オブ・ザ・リング』にしろ、ファンタジーシリーズにおいて主人公の闇堕ちは必ずあります。GoTもまた然り。デナーリスには、その統治姿勢から闇堕ちの片鱗は見せてはいたので、最終章での彼女の行動は妥当性があります。

 

 しかし、その後デナーリスは正義に目覚めることもなく、そのまま死を迎えます。これは、他のファンタジーシリーズでは絶対に出来ないことだろうと思うのです。

 

 『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』といったファンタジーシリーズは、基本的に子供でも楽しめるようになっています。これらのシリーズでは、闇堕ちエンディングはあり得ないでしょう。

 

 例えば『ハリー・ポッター』で考えるならば、ハリーがヴォルデモート側に寝返り、ハーマイオニーがやむを得ずハリーを殺すというような展開です。こんなエンディングでは、子供たちに一生のトラウマを残してしまいます。

 

 一方で、『ゲーム・オブ・スローンズ』は基本的に大人向けの作品です。それはヴァイオレンスや性描写だけではありません。近親相姦の話や子供が殺されるシーンもあります。GoTはストーリーも大人向けなので、トラウマ級エンディングを迎えても良いのです。というか、GoT以外のファンタジー作品でこのエンディングをすることはできないので、ここでやったことには大きな意味があるのではないでしょうか。

 

※以下、アメコミ及び映画『ウォッチメン』のネタバレを含みます。どちらかをすでに読んでいる/観ている方は構いませんが、それ以外の方はお気を付けください。

 

 

 

『ウォッチメン』と『ゲーム・オブ・スローンズ』

 自分が『ゲーム・オブ・スローンズ』の最終話(第6話)を観て思い出したのが、アラン・ムーアの傑作コミック『ウォッチメン』です。『ウォッチメン』では、最後に天才オジマンディアスが未知の生物を使ってニューヨークの人々を殺戮します。これは、デナーリスがドラゴンで王都を破壊したのに似ています。

 

 しかし、二人の行動の目的はやや異なります。オジマンディアスは、真の世界平和のためにの行動であり、完全に理性的な思考に基づいています。

 

 デナーリスの場合もオジマンディアス同様により良い世界を求めるという名目はあります。しかし、鉄の玉座に対する執着は人一倍強く、また直前にミッサンディを殺されていることから、今回の惨事が感情的な衝動に駆られた行動であることは間違いありません。ただ、これらは両人の性格の違いを示しているだけなので、この段階での優劣はありません。

 

 問題はその後です。『ウォッチメン』では、ドクター・マンハッタンはオジマンディアスの行動に理解を示し、ナイト・オウル、シルクスペクターは為す術もなく立ち尽くし、ロールシャッハは正義のために無駄だとわかっていても行動を起こそうとします。

 

 一方『ゲーム・オブ・スローンズ』最終話では、ジョン・スノウがデナーリスを殺害したことで、正義が為されたことになります。殺害シーン以外は、皆がナイト・オウルらのように、これまで通りの世界を取り戻そうとしています。

 

 個人的には、せめてジョン・スノウだけでもデナーリスを殺した後に、ドロゴンの炎で焼かれるのが美しかったのではないか、なんて思ったりします。あるいは、『ウォッチメン』のオジマンディアスのように、実は王都破壊はデナーリスの熟慮の基での行動であり、その結果平和な世界が訪れたというエンディングもあり???(でも、これではほとんど『ウォッチメン』のままになってしまうか)

 

 人気シリーズの終わり方が難しいのは『スター・ウォーズ EP9』を観てもまた然り。賛否両論があるのは仕方ないのかもしれません。実際、『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章には面白いところもたくさんありましたし、今回のエンディング以外の道はなかったのかもしれないとも思います。

 

まとめ

  個人的に、『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章、特に最終話については若干消化不良な部分もあるのですが、全体を通せばやはりよく出来ていたのではないでしょうか。特に第5話。あれをやった勇気に拍手をしたいです。それこそGoTにしかできないことですし、それを圧巻の迫力で映像化したわけですから。第5話は評価したいところです。

 

 一方で、第5話含め、最終章に不満があるというのもよくわかります。それはもう仕方ないでしょう。これほど大きくなってしまったシリーズを、誰もが満足する形で締めるのはとてつもなく難しいことです。

 

 たとえ、最終章が気に入らなかったとしても、他のシーズンを観ていたときを思い返してください。これだけの興奮を味合わせてくれる作品は他にないでしょう。総じて『ゲーム・オブ・スローンズ』が傑作であることに変わりはありません。 

 

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