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海外ドラマ『エキストラ』感想:スターになっても……

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 ベン・スティラー、サミュエル・L・ジャクソン、ケイト・ウィンスレットなどなど、有名俳優が大挙出演する海外ドラマ『エキストラ:スターに近づけ!』。しかし、そんな俳優陣は、みんな最低な奴らなんです。実は。もしかしたら。今回は、英国ドラマ『The Office』のクリエイターが贈る、海外ドラマ『エキストラ』の話をしていきましょう。

 

 

海外ドラマ『エキストラ』基本データ

・原題:Extras

・放送局:HBO(アメリカ)、BBC(イギリス)

・製作総指揮:リッキー・ジャーヴェイス、スティーヴン・マーチャント

・あらすじ:

 自称俳優アンディ・ミルマンは、いつまで経ってもエキストラ止まり。そんなアンディと親友のマギーは、有名俳優たちと偶然に出会っては、彼らの真の姿を知るのだった。 

 

海外ドラマ『エキストラ』感想

 イギリス版『The Office』で世界中から高い評価を受けたリッキー・ジャーヴェイスとスティーヴン・マーチャント。そんな彼らが次に作ったのが、この『エキストラ』です。リッキーは両作で主演を務め、スティーヴンは『The Office』にも何回か出ていますが、『エキストラ』ではアンディのエージェント役でレギュラー出演しています。

 

 今度は、BBCのみでなくアメリカのHBOも製作に入っています。HBOと言えば、当時なら『ザ・ソプラノズ』や『セックス・アンド・ザ・シティ』など高評価ドラマで知られ、ハリウッド映画界とも繋がりが強いです。

 

 これを聞いて(かどうかは知りませんが)、リッキー&スティーヴンは思いついてしまいました。そうだ! 皆が知っている俳優たちをクズにしてしまえば面白いに違いない、と。そして『エキストラ』では、それを実際にやってしまいます。

 

 ベン・スティラーは子供にモデルガンを突き付けて脅し、ケイト・ウィンスレットは電話エッチを提案し、ダニエル・ラドクリフは誰彼構わずナンパしまくります。片っ端から最低なのです。そんな役をよく引き受けたよね笑

 

 有名俳優陣が、捨て身とも言えるコメディをしているのはとても面白いです。でも、『エキストラ』の面白さは、そのことだけに終始していません。むしろ、それは一つの演出に過ぎないとも言えます。

 

 主人公は、万年エキストラのアンディと友人のマギー。ベン・スティラーなどの映画俳優は、彼らにとっては憧れの存在なわけです。しかし、そんな憧れの俳優に出会うたびに、彼らのクズぶりを見て、2人はしばしば失望します。

 

 『エキストラ』は、なかなか秀逸なエンディングで終わることがあります。2人で電話でだべってるだけだったり、安いパブで偶然出会った人々と飲んだりするだけだったり。有名人に出会った2人が、最終的にはやっぱり地に足の着いた、今の生活も悪くないよね、という結論に達します。華はないけれど、身の丈にあった幸せで良いじゃないか、と。

 

 『The Office』もそうなんですけど、ドラマのほとんどはブラックジョークや皮肉だらけなのに、唐突に人間らしい温かさが見られる展開が出てくるのは良いですよね。どんなに気まずくなろうとも、オチだけは優しいというのは、他のドラマには見られない特徴です。これだから、リッキー・ジャーヴェイス作品はやめられない。

 

 ちなみに、自分が一番好きなのはシリーズ1第4話「レス・デニス編」。レス・デニスが誰なのかは、自分はよく知らないのですが、このエピソードに出てくる演劇親子が、とても強烈でした。親は演劇一筋で、娘は子供の頃からずっとそれに付き合わされてきたのでしょう。誕生会のシーンは、気まずさMAX。娘はずっとそれが当たり前だと思ってきたのですが、そうではないことに気付いたときは切なかったなぁ。エンターテインメント業界の華やかさと孤独さは、表裏一体なのかもしれません。

 

 また、最終話では主人公のアンディ自身がスターになります。スターになったアンディも、これまで登場してきたスターたちと同様、人間としてはクズになってしまったように見えます。それでも、最後にはロバート・デ・ニーロとの面会をキャンセルしてまで、マギーと病気の子供のところに駆けつけます。デ・ニーロを選んだとしても人間としてのクズにはならないと思いますが(なにしろデ・ニーロなんだから!)、友情を選んだアンディは、やっぱり憎めない人物です。

 

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