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Amazonドラマ『カーニバル・ロウ』シーズン1感想

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Chaos is the great hope of those in the shadows.

- Sophie Longerbane in Carnival Row season 1

 

 Amazonプライムビデオで配信中のオリジナルドラマ『カーニバル・ロウ』のあらすじ・感想です。エロありグロありの過激なダークファンタジーの開幕です。

 

 

 

 

ドラマ『カーニバル・ロウ』基本データ

・原題:Carnival Row

・配信元:Amazonプライムビデオ

・配信日:2019年8月30日

・話数:8

・一話あたりの長さ:56分

・キャスト:オーランド・ブルーム、カーラ・デルヴィーニュ

・予告編(なんか、全然ドラマの雰囲気と合わないんだけど):

www.youtube.com

 

ドラマ『カーニバル・ロウ』シーズン1あらすじ(ネタバレあり)

 Amazonオリジナルドラマ『カーニバル・ロウ』は、ファンタジーの世界を舞台にした刑事ドラマです。ファンタジーなので、最初は固有名詞が多くてちょっと大変だったのですが、ここで一部おさらいしておきましょう。

 

バーグ:物語の舞台となる国

ピックス:妖精。人間からは「クリッチ」という蔑称で呼ばれる。

フェイ:羽のある妖精

パック:角の生えた妖精

ダーカシャー:死体を生き返らせた怪物

カーニバル・ロウ:バーグの中で、ピックスが多く住む治安の悪い地区

 

 数年前に戦争があり、そのせいで人間たちは妖精を迫害しています。このバーグで、ピックスを狙った連続殺人事件が起きたため、刑事のファイロオーランド・ブルーム)が捜査を始めます。戦争中にファイロと付き合っていたのが、妖精のヴィネット(カーラ・デルヴィーニュ)です。

 

 捜査の結果ファイロは、事件の被害者の一人である歌手で妖精のアシュリンが母親で、人間で首相のアブサロムが父親だったことを明らかにします。アブサロムの妻のパイエティは、自分の息子のジョナを首相にしたくて、ファイロの正体を突き止めて殺すために一連の事件を起こしたのでした。

 

 パイエティが事件を起こすきっかけとなったのが、首相の隠し子の存在を教える手紙だったようですが、これが実は首相の政敵の娘のソフィが書いていました。かくして、ソフィの思う通りに事が運んだので、彼女はクリッチ迫害政策をさらに強力に推し進めていくことにします。

 

 一方で、人間のイモジェンとパックのアグレウスは徐々に惹かれあい、最終的に船でバーグから抜け出します。

 

 

 

ドラマ『カーニバル・ロウ』シーズン1感想(ネタバレあり)

Amazonイチ押し

 『カーニバル・ロウ』は、ほとんど予備知識なしで観始めたのですが、かなり大人向けのダークファンタジーでしたね。エログロ満載で。ダークな世界観は、まだシーズン1であるために少しこじんまりとしていますが、ちゃんと作りこまれています。

 

 人狼などのクリーチャーもいくつか出てくるのですが、CGはもう一歩という感じもしました。ドラマなので、それでも十分なクオリティだと言えるのですが、HBOの『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ダーク・マテリアルズ』と比較すると、ちょっとね。そのことを制作陣も気に掛けていたからなのか、画面は全体的に暗めでした(画面が暗いとCG技術を誤魔化しやすいんです)。

 

 主演は、オーランド・ブルームカーラ・デルヴィーニュという2人で、Amazonがこのドラマに力を入れているのことが伝わってきます。オーランド・ブルームは、ロード・オブ・ザ・リング』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出ていたので、ファンタジーの世界観との相性が良いですよね。

 

 カーラ・デルヴィーニュはモデルとしての活動も多く、太眉のキリッとした顔が印象的です。役者としては、以前には、SF映画『ヴァレリアン』にも主演していました。ただ、私は正直に言うと、『ヴァレリアン』でのカーラ・デルヴィーニュの演技はあまり受け入れられませんでした。でも、今回はいくぶんか演技に慣れてきたようにも見受けられました。カーラ・デルヴィーニュ自身のカッコ良くて可愛いという魅力は、今回のヴィネット役にとても合っていたので、そこは良かったです。

 

②過激なダークファンタジー

 『カーニバル・ロウ』の特徴はエログロだと言いましたが、特に濡れ場シーンは見せ場の一つと言って良いでしょう。第3話でのファイロとヴィレットの濡れ場シーンは、とても美しかったです。この点に関しては、同じくエログロを一つの売りとする『ゲーム・オブ・スローンズ』に勝っているようと思っています。

 

 ストーリーに関しては、堅実な作りで、特に悪いところがあるでもないですが、特にハマる要素もなかったというところでした。刑事ノワールものをファンタジーの世界に持ち込んだだけあって、そのあたりの鉄板のストーリーはしっかり押さえられていたようです。ただ、メインストーリーにファンタジーならではの展開はあまりなくて、そこはもっと頑張ってくれると面白くなりそうだなとも思いました。

 

③社会問題とリンク

 『カーニバル・ロウ』は、世界観こそ間違いなくファンタジーであるものの、ファンタジーらしからぬ設定や展開がとても多いです。迫害される妖精たちとか、議会政治とか。どう考えたって、これは現実社会を反映したものだと考えずにはいられません。特に、2010年以降あたりから世界的な課題になっている移民問題です。

 

 『カーニバル・ロウ』でやろうとしていることは、映画『第9地区』みたいなことなのかなとも思います。『第9地区』は、人種差別される側の人々をエイリアンに見立てた物語でした。『カーニバル・ロウ』は、迫害される移民を妖精たちに置き換えたものだと言えます。『第9地区』の考察は優れたものがたくさんあるので、ここではわざわざ書きません。

 

 果たして『カーニバル・ロウ』の場合は、この狙いは成功していたのでしょうか。上述した通り、『カーニバル・ロウ』を観て移民問題との関連を見出すのはとても容易なので、その意味では成功しているとも言えます。

 

 しかし、その割に移民問題に関して新たな見識が得られるかと言うと、そうでもないように思います。迫害や差別が酷いのは伝わってきましたし、そういうものがなくなってほしいなとは感じました、けれど、これまでもニュース等を見て感じてきたようなことでもあるので、これまで以上にその思いが強くなるというわけでもなかったです。

 

④一つの致命的なミス

 『カーニバル・ロウ』には、一つだけ設定が崩壊しているところがあるんです。現実の社会問題を描くならば、議会政治は必要なのは何となくわかります。でも、議会政治において、首相が世襲制なわけはないですよ。王政じゃないんですから。首相が死んでも、政治に詳しいわけでもない息子が首相になるなんてことはあり得ないです。

 

 民主政治でも世襲政治というものはありますが、首相が選挙により選出されることには変わりがありません。移民問題というテーマ性を追求するために議会政治を導入する必要があった一方で、物語の展開上は世襲制が必要(一連の事件の動機となるため)なので、この間で齟齬が起きてしまったようです。

 

 それでも、『カーニバル・ロウ』はまだシーズン1です。これからさらにテーマ性を追求していくのか、あるいはエンタメ性を追求していくのかはわかりませんが、どちらにしろパワーアップは期待したいところです。

 

 最近は、シーズン1はあくまでも序章に過ぎないというスタイルのドラマが増えています。『カーニバル・ロウ』についても、シーズン1で世界観の説明などは十分出来たと思います。シーズン2では、シーズン1からのさらなるスケールの拡大や物語の深掘りを楽しみにしています。

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