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Netflixドラマ『ブランニュー・チェリーフレーバー』感想|魔術の復讐劇@ハリウッド

The bitch just puked a cat!

- Brand New Cherry Flavor

 

 Netflixオリジナルドラマ『ブランニュー・チェリーフレーバー』は、とても変態的な作品です。子猫を吐くなんてのは、まだまだ序の口。今回は、ハリウッドの片隅で繰り広げられる魔術の復讐劇を描いたNetflixドラマ『ブランニュー・チェリーフレーバー』の感想をネタバレありでまとめていきます。

 

 

基本データ

  • 原題:Brand New Cherry Flavor
  • 配信:Netflix
  • 配信日:2021年9月13日
  • 話数:8
  • 原作:トッド・グリムソン
  • 主演:ローサ・サラザール
  • あらすじ:ハリウッドにやってきた新人監督のリサ・ノヴァが作った短編映画がプロデューサーのルー・バーク目に留まり、長編映画として製作するときにもリサが監督をする契約が交わされた。しかし、ルーは急遽リサを監督から下ろし、勝手に映画の製作を進めようとしていた。リサは、自分の映画を取り戻すために魔術師に頼んで復讐を始める。

予告編

youtu.be

 

ネタバレ感想

 『ブランニュー・チェリーフレーバー』の第1話は、その後の展開に比べれば、ずっと平穏な始まりでした。自作の短編映画「ルーシーの瞳」を売り込むためにハリウッドにやってきたリサ・ノヴァは、映画プロデューサーのルー・バークに出会います。ルーは、リサを監督に据えたまま、この短編映画を長編のハリウッド映画にしたいと言い出します。絶交のチャンスにリサは賛同し、2人はチームとして映画の売り込みを始めます。

 

 しかし、ルーは、リサに対してセクハラを仕掛けてきます。リサは、それを断固として断るのですが、その翌日、リサは監督から降板させられてしまいます。90年代のハリウッドといったら、#MeToo運動が始まるずっと前ですから、セクハラなんて日常茶飯事だったんじゃないでしょうか。このような事例が実際にあったとしても、驚きはしません。

 

 今の時代だったら、適切なところに相談するかSNSで世間に訴えれば、監督への復讐は果たされますが、当時はそうではなかったようです。そもそもリサにしても、自分が監督を降ろさせられた理由がわかっておらず、ルーの性的な誘いを断ったことが原因だとは夢にも思っていません。

 

 SNSがない時代では、復讐を果たすための手段といえば魔術でした。リサは、怪しげな魔女ボロのもとを訪れ、ルーに復讐してくれるよう依頼します。すると、リサは子猫を吐き出します。PayPayのようなスマホ決済が存在しない時代には、子猫で支払いをするのが一般的でした。

 

 支払いは一括ではなく分割なので、何回かネコを吐き出す必要があります。ゲロゲロゲロ~。これでも十分気持ち悪いですが、喉から出しているうちはまだ良かった。リサは、喉から子猫を出すのは嫌だと言い出してしまいます。ということで、今度の子猫は脇腹を突き破って出てきました。オゥエ。よりによってそんなところから出てこなくても。下半身なら子猫くらい出てこられる穴が2つもあるのに。

 

 本当に気持ち悪い瞬間は、さらにこの後のシーンです。リサは、横腹から体内に手を突っ込み、快感を感じています。彼氏にも手を入れてもらい、これまでにないほどの絶頂を経験しています。だから! 別の穴があるんだってば! もしかしたら脇腹の内蔵には、誰も知らない性感帯があるのでしょうか。

 

 そんな痛い支払いにも関わらず、ルーへの復讐はいっさら進んでいる様子がありません。リサの後釜の監督は火だるまに包まれ、ルーの息子はタランチュラに噛まれてゾンビになりましたが、ルー自身にはまだ身体的な被害が及んでいません。ただし、精神的には、急な幻覚や幻聴に悩まされているようでした。

 

 あたかもルーの幻覚はボロの魔術のおかげであるかのように描かれていましたが、私は忘れていませんでした。ルーは、鼻から虫を吸い込んでいます。リサが、コカインに混ぜてルーに渡したときのことでした。虫が頭の中にいるなら、幻覚ぐらい見るでしょう。最終話で、確かにルーの頭の中に虫がいたことがわかりました。しかし、それは思ったよりも大きく、目頭から延々と細長い虫が出てきます。ウウッ。

 

 

 主なところだけを振り返ってもいまいちストーリーの整合性がありませんから、細かいことを言い出せばもっとあります。とはいえ、このドラマは、最初からストーリーは気にしていないようなところがあるので、整合性などどうでも良いのでしょう。楽しむべきは、そのグロテスクでホラーな雰囲気です。

 

 こういう作風は、デヴィッド・クローネンバーグ的とかデイヴィット・リンチ的と言われるようです。この2人の監督のことはなんとなく知っていますが、その作品は1つずつぐらいしか観たことがないので、自分には語ることはできません。詳しい人がこのドラマを観れば、オマージュとかも見つけられるのかもしれません。そんなものがあるのか知りませんけど。

 

 それはともかく『ブランニュー・チェリーフレーバー』の雰囲気は、クールだと思いました。ストーリーはほとんど破綻していますが、シュールなグロテスクさは良かったです。主演のローサ・サラザールは、そのくっきりした目元が特徴的でカッコいい。主人公は、最初の方では単なる被害者なのですが、短編映画の撮影中にはなかなか狂気の宿った表情をしていたのが印象的でした。

 

 

 念のため、このドラマを観るにあたって気を付けるべきことが2つあります。まず、Netflixの料金は子猫では払えません。90年代ではありませんから。そして、例えどんなに直視できないシーンがあったとしても、自分の目玉をくり抜いて食べるのはダメですよ。気を付けないと、顔面を包帯でぐるぐる巻きにすることになりかねません。

 

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