Amazonプライムビデオのヒットドラマ『ザ・ボーイズ』のシーズン3は6月に公開予定ですが、その前にアニメ版のスピンオフ『ザ・ボーイズ:ダイアボリカル』が配信開始されました。diabolicalとは「極端に残酷であること」を意味する形容詞。過激すぎて本編では語ることができないバラエティ豊かな全8話をすべてレビューしていきます。
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基本データ
- 原題:The Boys Presents: Diabolical
- 配信:Amazon
- 配信日:2022年3月4日
- 話数:8
- 予告編:
全話ネタバレ感想
第1話「レーザー・ベイビーの1日」
脚本 エヴァン・ゴールドバーグ、セス・ローゲン(映画『スーパーバッド』)
ヴォート社で育てられた赤ちゃんのお話。ヴォート社は、赤ちゃんにコンパウントVという青色の薬を投与することで、最強のスーパーヒーローを世に作り出しています。その後、赤ちゃんは各家庭で育てられることになりますが、ヴォート社内で育てている段階でスーパーヒーローになる十分な能力がないと判断された赤ちゃんは、家庭に送られる前に処分されてしまうようです。幼児でも、あれほどのスーパーパワーを持っていることに驚き。
第2話「怒ったスーパーヒーローが親を殺す話」
脚本 ベン・バユート、ジャスティン・ロイランド(アニメ『リック・アンド・モーティ』)
自分たちの子供が特別な子になることを願って、親たちは子供にコンパウンドVを投与します。しかし、その結果として獲得するスーパーパワーは必ずしもカッコいいものではないかもしれません。ダサい能力を与えられた子供たちは、施設に入れられてしまいます。巨人とか、全身が舌とか、金玉が激アツとか、見た目はともかく使いようによっては強そうな能力もあるんですけどね。今回は、その能力を使ってそれぞれの親を殺していきました。それは、ちょっと痛快だったりします。
第3話「なじみの商人」
脚本 ガース・エニス(コミック『ザ・ボーイズ』原作者)
ブッチャーによるグレート・ワイド・ワンダー殺害計画。ヒーローたちにドラッグを供給している麻薬密売人のODを脅迫し、ラリったヒーローが自滅するように仕掛けます。ヒューイも登場。このアニメ版では、ドラマ本編で登場しているキャラクターの場合は、基本的に同じ俳優が声をあてているのですが、ヒューイは違います。ドラマではジャック・クエイドが演じていますが、今回はサイモン・ペッグが演じています。ビジュアルもドラマ版とは異なり、坊主で口髭があります。これは、原作でのヒューイを再現しているためです。
↑ 左から、原作コミック版ヒューイ、実写ドラマ版ヒューイ(ジャック・クエイド)、アニメ版ヒューイ、サイモン・ペッグ
元々、原作のヒューイのキャラクターは、サイモン・ペッグを意識して造形されていました。しかし、ドラマ版にあたっては、おそらく年齢の関係でペッグは起用されませんでした。アニメ版では見た目は関係ないということで、原作者のガース・エニスの念願が叶い、サイモン・ペッグがヒューイを演じることになったのでしょう。なお、ペッグはドラマ本編ではヒューイの父親役として出演しています。紛らわしい!
※ブッチャーの声優も、ドラマ版のカール・アーバンとは異なり、ジェイソン・アイザックスでした。
↓『ザ・ボーイズ』の原作コミックは、全6巻ですべて邦訳されています。第4~6巻は電子書籍のみとなります。こちらもぜひ。
第4話「3D号室のボイド」
脚本 イラナ・グレイザー、エリオット・グレイザー
ヴォート社が、塗るだけで思い通りの容姿になれるクリームを開発。それを利用して、アパートの隣の部屋に住む男女は、SNS上で人気者になります。最終的に化けの皮が剥がれてしまうのですが、2人は真の姿でも両想いになれてハッピーエンド♪ となるわけはなく、コンパウンドVの過剰使用によって頭が吹っ飛んでおしまいです。頭吹っ飛びエンドは刺激が強いけど、終わり方として雑だし、このドラマでは若干マンネリ化してきています。
第5話「永遠の友達」
脚本 オークワフィナ(映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』出演)
激ヤバ回です。日本のアニメを意識した作風で、日本のアニメっぽい演出をとことん盛り込んでいます。この時点で演出過多で面白いのですが、さらにウンコ人間が登場。可愛い感じになっていますが、ウンコです。主人公の声は脚本も手掛けたオークワフィナが担当しています。とても特徴的なハスキーボイスなので、女子高生のキャラクターなのにどうしてもオークワフィナだとわかってしまいます。どの要素を取ってもカオス。賛否が別れそうです。
第6話「ヌビアン対ヌビアン」
脚本 アイシャ・タイラー(ドラマ本編の裏話を語る『インサイド・ザ・ボーイズ』司会者)
離婚直前のヒーロー夫婦の娘が、夫婦の昔の宿敵に依頼して戦わせることで、両親の関係改善を画策する話。中盤で、実は宿敵もヴォート社に雇われていて、これまでの戦いはすべて台本通りだったことが明らかになります。メタ要素の強いこのドラマで、この設定を使うのは、なかなか看過できない危険性をはらんでいます。なぜならこの設定をメタ的に拡大すると、本編のボーイズvsセブンの戦いも実はすべてヴォート社が演出しているものだった、というオチが可能になってしまうからです。さすがにそれはないと思いますが。
第7話「ジョンとソンヒ」
脚本 アンディ・サムバーグ(ドラマ『ブルックリン・ナイン‐ナイン』主演)
ヴォート社の清掃員が余命わずかの妻を救うためにコンパウンドVを盗んで投与。これまでのコメディ調から一転、シリアスなSFホラーになっています。真面目によくできてるエピソードだなと思いました。『ザ・ボーイズ』らしくはないのですが、短編アニメとして完成度が高い。
第8話「1+1=2」
脚本 サイモン・ラシオッパ(アニメ『インビンシブル』)
ホームランダー誕生秘話。ホームランダーがセブン入りした当初は、普通の倫理観を持ったヒーローでした。しかし、最初の事件で人質を救うことに失敗。子供の頃にコンパウンドVの手術を受けさせられたトラウマもよみがえってきます。その状態を救ったのが、無言の刺客ブラックノワール。ブラックノワールの方がホームランダーの先輩の関係なんですね。このときから、世間からの人気を得るためならなんでもやるホームランダーが誕生しました。本編にも関わってきそうな興味深いエピソードです。
まとめ
本編ではできない過激なブラックジョーク満載の全8話でした。本編の補足的な内容として、スーパーヒーローたちが子供の頃にコンパウンドVを投与されるようになる経緯が明らかにされています。さらには、ホームランダーの過去まで。本編とストーリー上の関連はないとしても、見ておくと本編がさらに楽しめる内容になっています。
作品としては、とてもバラエティに富んだもので、個人的には第2話、第7話、第8話が特に面白かったです。全体的には、本編の悪趣味なブラックジョークをさらに過激にしたものが多く、『ザ・ボーイズ』のこの要素が好きな人はさらに好きになり、嫌いな人はさらに嫌いになりそうではあります。
それでも、クリエイターのエリック・クリプキがどこかで語っていたように「実写ではクレイジー過ぎてできないことをやった」という狙いはきっちり達成しています。尺も短いので、本編の前に気楽に楽しむにはちょうど良いシリーズです。自分は好きでした。
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