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海外ドラマ『ビリオンズ』シーズン5感想:億万長者 vs 検事 vs 億万長者

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 Netflixで配信中の金融ドラマ『ビリオンズ』。シーズン5は、途中でコロナ禍による中断を挟みながらも、無事に完成されていました。今回は『ビリオンズ』シーズン5のネタバレあらすじと感想、卵のシーンのトリビアなどを書いていきます。

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海外ドラマ『ビリオンズ』シーズン5基本データ

・原題:Billions

・放送局:Showtime

・放送期間:2020年5月3日~6月14日、2021年9月5日~10月3日

・話数:12

 

 

 

ネタバレあらすじ

 シーズン4は、検事のチャック・ローズとヘッジファンドCEOのボビー・アクセルロッドが共闘する構図だったが、シーズン5では再び敵同士に逆戻り。さらに、今回は新たな億万長者のマイク・プリンスが登場する。

 

 ボビーにとって、プリンスは目の上のたんこぶ。何かと邪魔をしてくるプリンスに対して、ボビーは総力攻撃を仕掛けることにする。プリンスが、若い時に親友を裏切って大金を手に入れていたことを知ったボビーは、テレビ局に情報を流す。結果、プリンスの社会的信頼は失墜した。

 

 チャックは、着々とボビーへの攻撃を始める。まずは、銀行をほしがるボビーに対して、ちょっかいを出すが、うっかり銀行を相手に渡すことになってしまう。

 

 それならということで、今度は父のチャールズ・シニアを銀行の監視役に任命。しかし、余命わずかだったチャールズに、ボビーは腎臓のドナーを探し出し信頼を獲得する。チャールズはボビーの側に付き、作戦は失敗に終わる。

 

 テイラーも黙ってはいない。前シーズンのラストで、自分の会社をボビーに牛耳られることになったテイラーも、反撃の機会を狙っていた。まずは、インパクト投資(利益だけでなく社会的な有益性も重視した投資)で共通していたプリンスに近づく。2人は協力してボビーに攻撃を仕掛けていたものの、テイラー・キャピタルが保有していた優良株をボビーの指示でマフィーが売り払ってしまう。

 

 この段階では、ボビーの圧勝。プリンス、テイラー、チャックは、全員が一杯食わされた格好になっている。チャックと別れたウェンディは、画家のタナーと付き合い始めるが、ボビーがタナーを遠ざけさせた。長年、協力してビジネスを進めてきた2人の関係は、ここにきてさらに近づき始めていた。

 

 テイラーとプリンスは、近年合法化が進む大麻ビジネスに注目する。大麻を扱う新興会社に投資することを決めたプリンスだが、そこをボビーが横取り。しかし、その会社は違法な大麻も扱っていたため、ボビーの会社はマネーロンダリング規制法に抵触してしまう。この機を待ちに待っていたチャックは、逮捕の手はずを整える。

 

 逮捕当日、ボビーは国外に逃走していたことが明らかになる。チャックは、あと一歩のところで手柄を逃すことに。実は、2日前にボビーは全財産をプリンスに売却していた。アックス・バンクもテイラー・カーボンも、今やプリンスのものになった。

 

 ボビーが逃走することは、ほとんどの者が知らされていなかった。だが、ウェンディだけはボビーとともに逃げないかと誘われていた。人生や子供を置いていけないウェンディは、ボビーの誘いを断る。恋愛関係になったとしても、それ以上進展することがないとわかった2人は、抱擁を交わして別れるのだった。

 

感想

 シーズン5の対決構図としては、ボビー&ウェンディvsチャック&プリンス&テイラーといったところでしょうか。基本的には、ボビーに対して様々な方面から攻撃が襲います。それでも、ボビーはすっかり手馴れなので、攻撃を見事に交わし、強烈な反撃を与えていきます。

 

 ですが、百戦錬磨のボビーといえども、負けるときがやってきてしまいます。犯罪組織のマネーロンダリングは、誰が見ても立派な犯罪です。プリンスへの復讐に一心になりすぎたことで、ろくな監査をせずに大麻ビジネスに手を出したのが間違いでした。

 

 いずれはボビーが崩壊するだろうという思いは、個人的にはどこかにずっとありました。シーズン1の最初の頃には、ボビーはウォール街で最もクリーンな投資家だと思われていたのを覚えていますか? それが、シーズンが進むにつれて、どんどんやることに容赦がなくなってきます。普通だったら、すぐにボロが出て崩壊していたでしょう。

 

 そこを、ギリギリのラインで抑えようとしてきたのがウェンディでした。ボビーが衝動的に無茶をしそうになったときに、思いとどまらせることが出来るのは彼女だけです。アックス・キャピタルの中心は、常にこの2人がいるからこそ成功を収めてきました。

 

 それが、今回だけは歯止めが効かなかったのです。ウェンディは、ボビーに対して諭すことができなかったため、取り返しのつかない事態になってしまいます。

 

 その背景に、ボビーとウェンディの関係性の変化があったのは明らかです。それまでは、あくまでビジネス上のやり取りをベースに、2人は強い絆を築いてきました。それが、恋愛という方向へ一歩でも進もうとしたことで、ビジネスは崩壊します。ボビーとウェンディの関係性は、絶対に変化させてはならないものだったのです。

 

 最後のシーンも良かったですね。あの場面は、普通はキスしそうなものですが、そうではありません。関係が進展させられないなら始めない。切ないですが、とても印象的なシーンでした。

 

 また、これでボビー・アクセルロッドを演じてきたダミアン・ルイスは『ビリオンズ』を降板します。主役の降板ということで、なかなかの衝撃です。そのニュースが海外エンタメメディアでもすぐに載ったため、自分はネタバレを食らうはめになったのですが、まぁそれはそれです。皆さんも気を付けてください。

 

 ダミアン・ルイスの演技は、シリーズを通してとても素晴らしいものでした。ボビー・アクセルロッドという、悪役でありながら圧倒的なカリスマ性を持つキャラクターを見事に演じていました。あの熱量を演じ続けるのは、なかなか出来るものではありません。お疲れさまでした。

 

 

 

トリビア

 『ビリオンズ』といえば、その台詞の中には大量のうんちくやトリビアが登場するのが特徴的です。金融業界で働く人はどれほど教養強者なんだと驚いてしまいます。いくつか、補足をしておきましょう。

 

 まず簡単に、最終話のテイラーをライアンの会話から。テイラー「プリコグのアガサだったらなんと言う?」、ライアン「『逃げろ!』」というやり取りです。これは、スティーブン・スピルバーグ監督の映画『マイノリティ・リポート』の引用になります。未来を予知することができるプリコグのアガサは「逃げろ!」という言葉を何度も繰り返していました。

 

 第7話「リミットレス」では、アックス・キャピタルのメンバーが怪しげな薬を飲んで脳を覚醒させています。これはタイトルにもある通り、2011年の映画『リミットレス』の設定をそのまま使っています。ボビーの目が怪しく光り、そこに寄っていくようなカットがありましたが、これも映画と同様の演出です。

 

 なお、この第7話はワグスを演じるデイヴィッド・コスタビルが監督しています。『THE WIRE/ザ・ワイヤー』『ブレイキング・バッド』『SUITS/スーツ』など、多くの名作ドラマに出演しているデイヴィッド・コスタビルですが、監督は今回が初めてになります。

 

 第10話の終盤には、とても奇妙なシーンがありました。プリンスがチャックの家を訪れていた際、そこにチャックの娘もやってくるのですが、3人は台所に移動しチャックがスクランブルエッグを作るのを黙って見ています。これが3分間ほどワンカットで撮影されています。

 

 これは、スタンリー・トゥッチが監督・主演を務めた1996年の映画『シェフとギャルソン、リストランテの夜』をオマージュしたシーンだと言われています。映画本編を観たことはないのですが、このクリップを見る限りはその通りだと考えて良いでしょう。

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 それにしても『ビリオンズ』のこのシーンは、あまりにも異様です。このドラマの他のシーンでは、早いテンポで会話が進み、内容も複雑なのですが、ここだけは何も起こりません。

 

 ニューヨークタイムズによると、コロナ禍以降の生活で家にいる時間が多くなったからこそ、ときにはスローな時間に家族や友人と親睦を深めるのも良いではないか、というメッセージがこのシーンには込められているといいます。おそらくそういうことなのでしょう。

参考記事:‘Billions’ Recap, Season 5, Episode 10: You Can’t Make an Omelet … - The New York Times

 

まとめ

 ボビーvsチャックというお馴染みの構図に、新たにマイク・プリンスというダークホースが現れたシーズン5。ついには、一方が敗北を喫することになりました。シーズン中盤でコロナ禍による突然の撮影休止、脚本の書き直し等もあってか、苦戦の跡は至るところに見られます。

 

 それでも『ビリオンズ』シーズン5は十分に面白いシーズンになっています。特に、ダミアン・ルイスのパフォーマンスは常に素晴らしく、このドラマを力強く牽引してくれました。今後も、何かしら映画・ドラマの企画はあるようなので、そちらでも頑張っていってほしいです。でも、ときには『ビリオンズ』にも帰ってきてほしいかな。

 

 すでにシーズン6の撮影は始まっており、アメリカでは2022年1月23日にシーズン6第1話が放送されます。今から4ヶ月もありません。日本でも、同時期にNetflixで配信されるでしょう。もうティーザー予告も公開されています。

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 プリンスの支配下となったアックス・キャピタルおよびテイラー・カーボン。ダラー・ビルとマフィーは、独自にファンドを作りそうな雰囲気です。チャックは、プリンスへの復讐を誓っていました。チャックvsプリンスの熱い闘いが始まりそうです。

 

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