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Apple TV+ドラマ『バッド・シスターズ』感想|罪を背負うか擦り付けるか

 Apple TV+のドラマ『バッド・シスターズ』が面白かった! 掘り出し物です。空前絶後のクソ男が出てきますし、動物が何匹か死にますが、そういったブラックジョークへの耐性がある方にはぜひともおすすめしたい。今回は、Apple TV+の新作ドラマ『バッド・シスターズ』を紹介していきます。

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基本データ

  • 原題:Bad Sisters
  • 配信:Apple TV+
  • 配信日:2022年8月19日~10月14日
  • 話数:10
  • 原作:ベルギーのテレビドラマ『Clan』
  • 脚本:シャロン・ホーガン、デイヴ・フィンケル、ブレット・ベア
  • あらすじ:ジョン・ポール・ウィリアムズが死んだ。保険金を払いたくない保険屋は、彼が妻とその姉妹たちによって殺されたのではないかと疑う。

予告編

youtu.be

*ドラマ『バッド・シスターズ』はApple TV+で独占配信中。Apple TV+は初回7日間無料、その後は月額900円(税込)です。Apple TV+で配信されている作品は、すべてここでしか観ることができない独占配信作品です。

Apple TV+

 

登場人物/キャスト

ジョン・ポール・ウィリアムズ/クレス・バング

 人類史上最低のクソ男。通称JP。グレースの夫。ブラネイドの父。イーバの同僚。最後に死ぬ。

 

イーバ・ガーヴェイ/シャロン・ホーガン

 長女。独身。JPと同じ職場で働いている。子どもを産めない体質である。両親が亡くなった後、親の代わりのような存在として、妹たちの面倒を見てきた。アルコール依存症の傾向がある。

 

グレース・ウィリアムズ/アンヌ=マリー・ダフ

 次女。JPの妻。ブラネイドの母。かつては姉妹とよく一緒に過ごしていたそうだが、結婚してからはJPからあらゆることを制限され、常に家の中で過ごすようになった。

 

アースラ・フリン/エヴァ・バーシッスル

 三女。看護師。救急救命医のドナルの妻。写真教室の先生のベンと浮気をしている。

 

ビビ・ガーヴェイ/セーラ・グリーン

 四女。事故で片目を失った。妻のノラと子どもたちと暮らしている。JP殺害計画を最初に言い出した。

 

ベッカ・ガーヴェイ/イヴ・ヒューソン

 五女。マッサージ店をやっている。マシューと良い仲になる。

 

トーマス・クラフィン/ブライアン・グリーソン

 保険会社クラフィン&サンズを父親から引き継いだ。JPが死んだことによるグレースへの保険金を払いたくないので、JPが何者かに殺されたのではないかと疑い始める。

 

マシュー・クラフィン/ダリル・マコーマック

 トーマス・クラフィンの異母兄弟。クラフィン&サンズで働き始める。ベッカと付き合い始める。自称ベーシスト。

 

感想

最低最悪のクソ男

 このドラマの最終話で、ジョン・ポール・ウィリアムズは死にます。そのことは最初から分かっていますが、それでもドラマを観進めていくうちに、どんどん「早く死んでくれよ!」という思いが積もっていきます。JPの悪行の一部でもSNSで広めれば、またたく間に炎上して、世界中の人が奴を殺す手伝いをしてくれるでしょう。

 

 最近の映画やドラマでは、有害な男らしさを持った悪役が非常によく登場します。映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』が代表的ですが、それに限らず、ほとんどの作品に出てきます。JPのその系譜の一人ですが、これはレベルが違います。

 

 まず、妻を家から出そうとしません。「家に帰ったら妻が料理をして待っていてくれるといいなぁ」とかいう古臭い考えを実行しています。妻のグレースは、JPに洗脳されているような状態で、いつもJPの言いなりになってしまいます。娘のブラネイドに対しても厳しく、少しでも大人っぽいことをしたら怒りだします。

 

 JPは、グレースの姉妹たちが大嫌いです。イーバは、娘に色々教え込もうとしていて、しかも酒飲みだから嫌い。子どもが産めないことを何度も茶化しています。アースラが浮気をしていることを知ると、嫌らしい手段でアースラを脅すようになります。ベッカには、一度はマッサージ店の資金提供をするフリをしながら、そんなことは言っていないと言い出す始末。

 

 JPは、とにかく自分に甘く、すべての都合の悪いことを他人のせいにします。さらに、自分の倫理観に1ミリでも沿わないことをしている人を見たら、無理やり矯正せずにはいられません。しかも、人が困っているのを見るのが大好きです。

 

 有害な男らしさが基になっている人物とはいえ、さすがにここまで邪悪な人は見たことがありません。JPに共感できる人は、この地球上に一人だっていないでしょう。とっとと死んでほしいのですが、こういう奴に限って運が強い。全然死にません。あ~~~!早く死ね~~~!!

 

以下、ネタバレを含みます。

 

JP殺害計画

 視聴者の気持ちを代弁して、JPを殺害してくれるのはガーヴェイ姉妹です。言い出したのは、ビビでした。右目に眼帯をしていますが、これはJPの事故のせいでした。ビビは、意志が強そうでちょっと変わったところがあるんじゃないかと最初は思っていました。殺害計画を本気で言い出すくらいですから。眼帯のせいもあるかもしれません。

 

 でも、実際にはビビは一番優しい心を持っています。自分の子どもたちのことをよく気にかけています。自分が考案した殺害計画で罪のない人の片目を失明させてしまったときには、激しく後悔しています。そもそも殺害計画は、自分のためではなくグレースと姪のブラネイドのためだと何度も念押ししていました。ビビの印象は、第一印象のときとはだいぶ変わりました。

 

 今回の殺害計画で、便利な存在が看護師のアースラ。「あの薬品盗める?」「たぶんできるよ~」と答えて、様々な毒薬の調達をしてくれます。アースラ自身は長らく不倫をしており、その弱みをJPに握られてしまったため、殺害計画に参加しています。アースラの動機は、自分勝手だなと思います。最後まで、ベンとの不倫関係を続けようとしていましたし。そんなに好きじゃありません。

 

 長女のイーバは、妹たちを育ててきたような立場で、今回の計画でもリーダー的な役割を担っています。イーバは、JPの同僚なので、日頃からJPへの恨みを募らせていたはずですが、本当に殺したいと思うに至った動機は最終話で明らかになります。JPはレイプ犯でした。父親の死体を地下室に隠していた件もあり、ここまでくるともはや、JPは史上最低のクズ男ではなくて、れっきとした犯罪者です。

 

 末っ子のベッカは、可愛い。途中まで、JPから資金提供を受けてマッサージ店を開こうとしていたので、JPとの関係はまだマシな方だったのかもしれません。しかし、JPが資金提供するつもりが全くないことがわかり、殺害計画に参加します。JPの母親の家の地下室にある冷凍庫で、JPを凍死させようと計画したのはベッカでした。

 

 ところが、この計画は大失敗し、代わりにJPの母親を殺してしまいます。これは、さすがにまずい。謝って済むような話ではありません。そんなことはベッカも重々承知で、誰よりも激しく後悔しています。罪の意識から、最終的にJP殺しの罪を被って、自殺しようとしたほどです。

 

 姉妹がやっていることも、結構ヒドいものです。家を燃やし、犬を殺し、片目を失明させ、人を殺しています。いくらJPが最低な男だとは言え、これほどの巻き添え被害は正当化できません。だから、正当化していません。ビビもベッカも、死ぬほど後悔しています。そこが、JPと違うところ。JPだったら、絶対に誰か他人のせいにして飄々としていたことでしょう。

 

最後に微笑むのは誰?

 グレースも、よくあんな男と結婚していられますよね。たぶんJPに洗脳されてます。そのせいで、家に閉じこめられて、娘に関することもいちいちJPに相談せずにはいられません。いい加減、娘にも愛想を尽かされたので、ついに自発的にダンス教室に行くようになります。しかし、さすがにこれはハードルが高かったか。

 

 次に、絵画教室に行きます。そこで、モデルの女性から絵を褒められます。「これを見たら夫はどう思うかしら?」と応えたグレースに対し、女性は「今は夫のことなんか関係ないでしょ」と助言します。この言葉で、やっとグレースの洗脳が解け始めたように感じました。

 

 洗脳が完全に解けたのは、山小屋での出来事でした。グレースはついに、JPがすべてを他人のせいにし、自分を精神的に痛めつけていたことに気づきます。感情が抑えられなくなったグレースは、JPを絞殺してしまいます。その後、実に器用にバイク事故を偽装します。姉妹があれほど頑張っても殺せなかったJPを殺し、しかも警察にも気づかれなかったグレースには、犯罪の才能がありますよ。

 

 真犯人は、なんとなく予想がつかないわけではありません。そもそもJPが最後に死ぬことはわかっていますし、これでは予想がついて面白くないのではないか。と思いきや、とんでもなく素晴らしい最終回でした。姉妹の強い絆が見られて、泣きそうになったほどです。ドラマで泣きそうになったのは久しぶり。良いドラマだったなぁとしみじみ感じました。

 

追記:『バッド・シスターズ』シーズン2の製作が正式発表されました!

 

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