I am Daenerys Stormborn of the blood of old Valyria and I will take what is mine, with fire and blood, I will take it.
- Daenerys Targaryen, Game of Thrones
海外ドラマファンに最も親しまれているドラマは何なのか? その答えを探すため、Twitter上で皆さんに訊いてみたところ、全部で330人の方に回答していただけました。答えていただいた皆さん、大変ありがとうございます。今回は、その回答を集計した結果から歴代最高の海外ドラマベスト50を発表していきます。
ポイント集計ルール
- Twitter上で「#オールタイムベスト海外ドラマ」を付けて、海外ドラマを最大10作品挙げてもらう。
- 原則として、1位は10点、2位は9点……、10位は1点として各作品の合計点数を算出する。
- 順位がない場合は、すべて同率順位として計算する。すなわち、10本を順位なしで挙げてもらった場合は、すべて5.5位(5.5点)として扱う。
- 10本以下の場合は「最大点数=挙げてもらった本数」とする。たとえば、7本だけ挙げてもらった場合、点数は1位が7点、2位が6点……、7位が1点となる。
- その他の場合は、その都度ルールを決める。その際、①1人あたりの総点数が55点以下、②1作品あたりの最大点数が10点以下、の2つは厳守する。
アンケート期間は、2022年2月1日~2月15日までの2週間。最終的に、回答数は329。挙がった作品はのべ3007作品、重複を除くと548作品。総点数は15767.3点。各個人のベストはTwitterで上記のハッシュタグを検索するか、以下のリンクからすべて見ることができます。
#オールタイムベスト海外ドラマ - Twitter Search
オールタイムベスト海外ドラマトップ50
第1位『ゲーム・オブ・スローンズ』893点
第2位『ブレイキング・バッド』499.7点
第3位『SHERLOCK/シャーロック』323.7点
第4位『クリミナル・マインド』282.7点
第5位『ER 緊急救命室』263.8点
第6位『glee/グリー』243点
第7位『ウォーキング・デッド』233.6点
第8位『セックス・アンド・ザ・シティ』231.7点
第9位『フレンズ』223点
第10位『メンタリスト』203.5点
第11位『ストレンジャー・シングス』200点
第12位『ベター・コール・ソウル』193.6点
第13位『ダウントン・アビー』191.3点
第14位『プリズン・ブレイク』186点
第15位『ビッグバン・セオリー』181点
第16位『デスパレートな妻たち』177.5点
第17位『スーパーナチュラル』170.1点
第18位『CSI:科学捜査班』165.7点
第19位『24-TWENTY FOUR-』146.5点
第20位『HOMELAND/ホームランド』144.7点
第21位『X-ファイル』140.0点
第22位『パーソン・オブ・インタレスト』136.8点
第23位『HANNIBAL/ハンニバル』118.4点
第24位『刑事コロンボ』116.9点
第25位『アリー my Love』116.5点
『ゴシップガール』116.5点
第27位『グレイズ・アナトミー』113.1点
第28位『ザ・ボーイズ』112点
第29位『THIS IS US/ディス・イズ・アス』111.3点
第30位『フルハウス』110.0点
第31位『シャーロック・ホームズの冒険』105.3点
第32位『ナルコス』101点
第33位『マンダロリアン』100.6点
第34位『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』99.6点
『ビバリーヒルズ高校白書』99.6点
第36位『ホワイトカラー』96点
『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』96点
第38位『バンド・オブ・ブラザース』94位
第39位『コールドケース 迷宮事件簿』91.3点
第40位『SUITS/スーツ』90.5点
第41位『ツイン・ピークス』89点
第42位『ドクター・フー』86.8点
第43位『THE WIRE/ザ・ワイヤー』85.5点
第44位『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』85.4点
第45位『ウェントワース女子刑務所』83.5点
第46位『FARGO/ファーゴ』82.5点
第47位『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』79.6点
第48位『チェルノブイリ』78点
第49位『HAWAII FIVE-0』75.5点
第50位『ザ・クラウン』71.6点
第1位はぶっちぎりで『ゲーム・オブ・スローンズ』となりました。これは納得でしょう。第2位の『ブレイキング・バッド』は、スピンオフの『ベター・コール・ソウル』も第12位に入っており、こちらも根強い人気を誇っています。
第3位にベネディクト・カンバーバッチ主演の『SHERLOCK/シャーロック』、第31位にジェレミー・ブレット主演の『シャーロック・ホームズの冒険』、第44位にジョニー・リー・ミラー主演の『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』が入っており、コナン・ドイルが生み出した名探偵の偉大さをここでも窺い知ることができます。
最も新しい作品は、2019年11月にスタートしたスター・ウォーズ初の実写ドラマ『マンダロリアン』(第33位)。第28位『ザ・ボーイズ』と第48位『チェルノブイリ』も同年の作品です。
最も古い作品は、1963年スタートの『ドクター・フー』(第42位)なのですが、多くの日本の視聴者は2005年から始まった新シリーズを観ていると思われるので、実質的には1968年スタートの『刑事コロンボ』(第24位)ということになるでしょう。
平均点ランキング
平均点は、点数を回答した人数で割ったものです。それぞれのベストの中で、その作品がどのような順位に置かれているかを表したものと言えます。実際には、今回のようなアンケート調査では平均点にあまり意味はないのですが、面白い傾向が見られたので上位10本のみ紹介します。なお、少数の場合は極端に高い数値が出ることがあるため、回答者が10人以上いた作品のみを扱ってます。全体の平均点は総計点数15712.3点/のべ2997作品=5.24点でした。
第1位『THE WIRE/ザ・ワイヤー』85.5点/12人=7.13点
第2位『ゲーム・オブ・スローンズ』893点/128人=6.98点
第3位『ヴァンパイア・ダイアリーズ』68点/10人=6.8点
第4位『ナルコス』101点/15人=6.73点
第5位『ザ・クラウン』71.6点/11人=6.51点
第6位『ビッグバン・セオリー』181点/28人=6.46点
第7位『CHUCK/チャック』68.5点/11人=6.23点
第8位『MAJOR CRIMES~重大犯罪課』62点/10人=6.2点
第9位『アリー my Love』116.5点/19人=6.13点
第10位『X-ファイル』140.0点/23人=6.08点
平均点なので、人数が多ければ有利というわけではないにも関わらず、『ゲーム・オブ・スローンズ』はここでも第2位につけています。とてつもない人気作というだけでなく、愛されている作品であることの一つの証ではないでしょうか。
この圧倒的人気作を超えて1位を獲得したのは、知る人ぞ知る名作クライムドラマ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』。このドラマは、アメリカなどのオールタイムランキングでは1位に選ばれることも多い傑作ドラマです。日本での知名度は低いものの、一度でも観たことがある人たちからは非常に高い評価を得ています。
関連記事:なぜ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』は史上最高のテレビドラマと言われるのか? - 海外ドラマパンチ
年代別ランキング
各年代にスタートした作品のみを抽出し、ランキングにまとめてみました。ただし、60、70、80年代のみです。90年代以降の作品は総合ランキングで。
1960年代
第1位『刑事コロンボ』
第2位『宇宙大作戦(スター・トレック)』
第3位『奥様は魔女』
※総合42位の『ドクター・フー』は除いた。
1970年代
第1位『大草原の小さな家』
第2位『チャーリーズ・エンジェル』
第3位『地上最強の美女バイオニック・ジェミー』
1980年代
第1位『フルハウス』
第2位『シャーロック・ホームズの冒険』
第3位『名探偵ポワロ』
第4位『特攻野郎Aチーム』
第5位『ナイトライダー』
その他ランキング
おまけとして、Netflixオリジナル作品とHBO作品のみを抽出したランキングをそれぞれ作ってみました。ここでいう「Netflixオリジナル」とは、Netflixが制作した作品のことを指し、『ベター・コール・ソウル』など日本ではNetflixオリジナルと謳っていても実際にはNetflixが制作していない作品は除きます。
Netflixオリジナル
第1位『ストレンジャー・シングス』
第2位『ナルコス』
第3位『ザ・クラウン』
第4位『ブラック・ミラー』
第5位『クイーンズ・ギャンビット』
第6位『セックス・エデュケーション』
第7位『コブラ会』
第8位『デアデビル』
第9位『アンブレラ・アカデミー』
第10位『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』
第11位『ウィッチャー』
第12位『ダーク DARK』
第13位『LUCIFER/ルシファー』
第14位『ペーパーハウス』
第15位『ホーンティング・オブ・ヒルハウス』
HBO
第1位『ゲーム・オブ・スローンズ』
第2位『セックス・アンド・ザ・シティ』
第3位『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』
第4位『バンド・オブ・ブラザース』
第5位『THE WIRE/ザ・ワイヤー』
第6位『チェルノブイリ』
第7位『メディア王~華麗なる一族~』
第8位『ウエストワールド』
第9位『OZ/オズ』
第10位『シックス・フィート・アンダー』
まとめ
改めて、今回のアンケートに回答してくださった皆様には深くお礼を申し上げます。なお、これはあくまでも集計したデータに過ぎません。本当に好きな作品はそれぞれにあるでしょうし、あるいはこれから見つけるのかもしれません。皆様の充実した海外ドラマライフを送られることをお祈りし、この「海外ドラマパンチ」がその一助になれればとそれ以上のことはありません。なんだかこのブログの最後の記事みたいな締めくくり方になってしまいましたが、全く最後のつもりはありませんし、なんならまだ補足事項も書きます。
↓ これは私個人のオールタイムベストです。
以下、アンケートの公平性を保証するの補足事項です。読み飛ばして頂いても構いません。
補足:主催者バイアスについて
Twitterでこのようなアンケートを行うとよく起こってしまうのが、主催者の嗜好に偏った結果が出てしまうことです。Twitterは、自分と趣味が合う人をフォローすることが多いので、アンケートの回答者の大半が自分のフォロワーになってしまうと、このような現象は起こりやすいといえます。今回のアンケートでその効果が全くなかったとは言えませんが、比較的少なかったのではないかと考えています。まず、今回のアンケートでは、私のフォロワーに限らず、多くの人に参加していただけました。
Twitterのアイコンには黒い二重丸(このブログの管理人のアイコンと同じ)を用いており、これは非常に抽象的で特定の作品や嗜好を表すものではありません。ヘッダーにはドラマ『マッドメン』のアイコンをアレンジしたものを用いていますが、今回のアンケート結果でこの作品は147位となっており(もっとたくさんの人に見てほしいけど!)私のTwitterアカウントのデザインが結果に与えた影響は非常に小さいと考えることができます。
また、最終結果にしても、上位3作品は私も視聴したことがあり好きな作品ですが、4~9位の作品はまともに視聴したことがないため、Twitterでも話題に上げたことがありません。すなわち、これらの作品の順位が主催者の嗜好に影響された可能性はゼロです。上位3作品にしても一般に人気がある作品であることは周知の事実であることを併せて考えると、特に上位作品に私自身の嗜好が与えた影響は小さいと言って構わないでしょう。
補足:統計調査の意味
余談ですが、統計調査に関しては、興味深い事実があります。テレビ局の視聴率調査を行っているビデオリサーチは、全世帯のテレビを調査しているわけではなく、一部の世帯を抽出してデータ収集の許可を得て調査しています。いわゆる全数調査ではなく標本調査です。2020年まで、ビデオリサーチは関東地区の調査を900世帯を対象に行っていました(現在は2700世帯)。関東地区には約2000万世帯があることを考えると、とても少なく感じられるのですが、それで十分なのです。母集団が大きい場合は、全体のうちのほんの一部を調査するだけでも十分有効な結果を得られることがわかります。
今回の母集団はおおよそ「日本の海外ドラマファン」ということになると思います。Twitterですから、別に日本の人でなくても日本語がわかれば誰でも今回のアンケートに参加できますし、参加して頂いて大いに結構なのですが、日本語が話せる人のほとんどは日本の人なので「日本の」と付けることは統計的には問題ないでしょう。また「海外ドラマファン」を定義することは困難なのですが、今回のアンケートは原則として海外ドラマベスト10を聞いており、回答者は基本的にこれまで10本以上の海外ドラマを観たことがある人たちだと想定することができます。10本も海外ドラマを観たことがあれば、十分に海外ドラマファンと言って構わないでしょう。
日本に何人の海外ドラマファンがいるのかわかりませんが、例えば全人口の約1%=100万人と仮定してみましょう。それほど多くないかもしれませんが、大目に見積もるのは問題ありません。ビデオリサーチの旧基準に従えば、この場合は約50人に調査するだけで全体の様子を掴むことができます。テレビ局の選択肢がせいぜい10局しかないのに対し、海外ドラマの作品数は今回挙がっただけでも500作品を超えていますから、不適切な比較なのは承知しています。それでも今回は330人に対する調査です。統計的な精度を数値的に表す方法が自分にはわかりませんが、直感的にはそれなりによい確度だったのではないでしょうか。
と、ここまでは良いものの、ある疑問が浮かんできました。通常、ベスト10アンケートなどでは、今回のように1位=10点、2位=9点、……、10位=1点という点数が付けられます。しかし、この点数方式は実はあまり実用的といえないのではないか。回答者の思いを正しく数値化できていないのではないか、という疑問です。この点数方式の改善案、さらにそれに基づいた「オールタイムベスト海外ドラマ改正案」は、以下のサブブログの記事でまとめました。